【木曜日11】『プラグマティズム古典集成』

木曜日

【木曜日11】『プラグマティズム古典集成』

○中原研 院ゼミ 春学期の課題本でふれた「プラグマティズム」。提唱者自身の論文を読んでみよう!と読んだけど、歯ごたえありすぎ。でも、いい言葉ももらえた。

●パース、ジェイムズ、デューイの論文集

・プラグマティズムということがはじめて英語文献に登場したのは、1898年、ジェイムズの講演記録。

・パースのプラグマティズムは、対象についての意味、概念、理にかなった意味内容に関する学説である。

・信念とは、行為に対する規則。

・反デカルト精神により、4つの能力の存在を否定:
 1)我々には、内観の能力は備わっていない
 2)我々は、直観能力を持ち合わせてはいない
 3)我々は、記号無しに思考する能力など持ち合わせてはいない
 4)我々は、絶対的に認識不可能なものについては、考えることもできない。

・あらゆる妥当な推論は、演繹的であるか、帰納的であるか、仮説形成的であるか、そうでなければ、これらの組み合わせである。

・言葉で表現できないもの、言語を絶するもの、理解しがたいもの、こういったものはみな、情動を高ぶらせる。

・人間と言葉はお互いに教育しあうのであり、人間の知識が増大するにつれて、言葉のもつ意味も増大し、逆に言葉の意味の増大は、人間の知識の増大をもたらすのである。

・あらゆる思考は、記号である。

・理性にかなうというのは、経験と一致することを意味するのではなく、自分たちが信じたいと思っていることを意味する。

・思考の働きは、疑念という刺激によって生じ、信念が得られれば停止するのであり、したがって、信念を創り出すことが、思考の唯一の機能。

・論争から何かを学ぶことを常にしていたはずのソクラテスにしてみれば「論争で敗れる」ことは、彼にとって大いなる喜びであったはずだと私は思う。

・実験科学者の思考性向は、何を考える時でも、実験室における営みの問題として考える。

・プラグマティズムという新しい学説の最も顕著な特徴は、理にかなった認識と理にかなった目的との分かちがたい結びつきを承認する点にあった。

・哲学者と違い、自然科学の研究者の場合、お互い協力し合い、業績を重んじ、論争の余地のない研究成果を次々に生み出している。

・哲学が科学的になりうるためには、適切な用語体系を整備しなければならない。

・これまでの哲学は知的娯楽を自らの目的とし、単に本を読むことをその目的としてきた。
・プラグマティシズムは、広い意味での実証主義の一種。
・プラグマティシズムは「徹底した現場主義」などではない。

・キリスト教は、数ある宗教の中で最も熱狂的で、最も狭量な宗教で、その性質は、文明化により緩和されるまでは、非寛容であった。

・私(パース)は、元々純粋なカント主義者として出発した。だが、何段階もの思考過程を経ることで、とうとうプラグマティシズムの立場へと変貌せざるを得なくなった。

・「結果によりて、それを知るべし」

・プラグマティズムとは、意味を確定する一つの方法。

・パースは、論理学者。ジェイムズは、教育家。

・プラグマティズムが強調するのは、先行する現象ではなく、帰結として現れる現象である。つまり、行為の持つ可能性を力説するのである。

・アメリカの思想が理想化する個人は、個人それ自体、すなわち独立自存の孤立個人ではなく、自然的かつ人間的環境の中で進化し発達する個人、つまり学習しうる個人なのである。

○この言葉いいね~。

・回避不能で、生きていて、なおかつ重大な種類の選択を、正真正銘の選択と呼ぶ。

・経験主義者の考えは、もちろん我々は真理に到達できるかもしれないが、いかなる場合に到達可能なのか、これを誤りなく認識することはできないというもの。

・経験主義的傾向は、主として科学の分野に広がっており、他方、哲学においてこれまで絶対主義的傾向は何でも独自の方法で議論。

・スコラ体系の強みは、出発点にある。
 プラグマティズムの強みは、到達点にある。

・懐疑主義とは、選択の回避ではない。ある特定の種類のリスクを選択する事。同じリスクを被るなら、間違ってしまうより、真理を失う方がましだというわけだ。これこそ信ずることを拒否する者の態度。

・プラグマティストは、懐疑論者とはならない。つまり突き止められるべき真理は存在するという考えを堅持する。

・観念とは、反応的身構え。

・プラグマティズムは、哲学的手法を、科学的手法と調和させる。

・経験するということは、生きるということ。
・生命は、環境の支持があってはじめて持続する。

・経験とは、何かと遭遇し耐え忍ぶ過程である。
・自身の働きかけがもたらす帰結に耐えなければならない。

・我々の受動性は、一つの能動的態度である。

・経験ということで問題となっているのは、何かに働きかけること、何かを被ること、この両者の同時作用である。

・障害は、実は変化を促進し新しい反応を促す、前進への好機である。

・プラグマティストが誇りとするのは、現実的理想主義である。

・闘うに値する自由は、自己決定を実行する権利である。
・自由とは、成長であり、つまり達成であって、生まれながらにして持っているものではない。

・教育の秘訣は、思考と予見を促すように、抑制と支援を融合する事。

・自由とは(未来に対する)断固たる意志。

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●訳者による解題

・プラグマティズムとは、数ある結び目の部分にすぎない。
・プラグマティズムとは、未来を見据えた行為帰結主義である。

・パースは、自らの誤りに気づくと、絶えず、自説を改訂していく。

・「他の学説にとって新しい真理は発見であるが、プラグマティズムにとっては発明である」

・プラグマティストは、絶対的対立を回避する。

・主知主義は「世界は既に与えられているため、その特質を新たに規定し直す力を何ら有していないという信念」
・プラグマティズム運動は、主知主義との闘い。

・「新しい出来事は、過去の意味を変える」(J.H.ミード)

・帰結主義的自由論を支えているのは「改良主義」であり、「未来は今より、よりよいものになりうる」という希求と確信である。

・プラグマティストとは、未来は、よりよいものになりうると考える人々である。
・プラグマティストが想定する諸個人は、誤りからも「学習しうる個人」にほかならない。

○プラグマティストは「未来は、よりよいものになりうると考える人々」 であれば、俺もプラグマティスト!

投稿者:関根雅泰

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