【木曜日33】研修評価本(5)

木曜日

○授業評価、評価学に関する本です。

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『授業評価活用ハンドブック』 山地弘起(編)(2007)玉川大学出版部

・「学生による授業評価」の目的は2つ:教育改善とアカウンタビリティ

・授業の場合は、学生がもっている感覚や価値観を広げていくことが大切な目的であり、それこそが教育の本質だと言える。そこでは、教員と学生の関係は、単なるサービスの提供者と享受者ではない。

・授業とは、サービスの提供ではあるけれど、顧客アンケートが用いられるようなサービスとは大きく異なるということ。

・授業評価の始まり自体は、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の1920年代にまで遡る。

・授業評価の始まりを示す記念碑的な論文が、ブランデンバーグとレマーズによって、1927年に発表。「教師が持つべき特性」10の項目に、教員がどの程度あてはまるかを学生に訊くもの。

・「評価」という言葉への抵抗感は、一般的にはある。

・アメリカのある教員は「授業評価は必要悪」だと言っていた。「(評価されるのは)誰だっていやだよ、でも必要だ」

・学生を単なる評定者に教育しては意味がない。

・評価とは、測定された値をもとに、価値判断や意思決定を行う過程が含まれる。
 アセスメントとは、測定や評定に近い概念で、対象の属性の程度を確認するにとどまるもの。

・平均値や因子分析などの分析を行うためには、データの尺度水準という観点から、4段階以上が必要。通常、4段階から5段階が使われる。両者の大きな違いは「どちらでもない」という回答を含むか否か。

・日本では、5段階評定が圧倒的に多い。ただ、中心化傾向といって、3の「ふつう」に回答が集まりやすい。
・4段階だと、3以上を肯定的と扱うことができるが、一方で肯定回答傾向もあり、評定が肯定的に偏る欠点もある。

・4段階と5段階にそれほど大きな差はない。
・4段階評定と5段階評定の調査を、同じ授業群に対して実施したが、評定平均値の4段階と5段階の相関係数は、0.9をはるかに超えていた。そのため、4段階か5段階かによって得られる情報には、殆ど差が無いと考えてよく、どちらを採用するかかは、最終的には好みで決めるので良い。

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『評価論理:評価学の基礎』 佐々木亮(2020)多賀出版

・1960年代に「評価」が独立した学問領域として成立。

・評価=事実特定+価値判断

・評価とは、ものごとの本質(Merit)、値打ち(Worth)、意義(Significance)を明らかにすることである。

・価値(Value)の3種類:本質、値打ち、意義

・評価は全人格をかけた作業であり、そして全人格をかけるだけの価値がある行為なのだ。

・内部評価による利益相反の危険性

・実験デザインは、1920年代に、イギリスのロザムステッド農業試験場の技術者フィッシャーによって確立された。肥料の効果を、土地の肥沃度合いに影響されずに、純粋に測定するために考案された。

・統計学でも名を知られたクロンバックが「評価はアートである」と述べた(1982)

・メタ分析とは「同様(あるいは類似)の介入行為に関する複数の定量的結果からエフェクトサイズ(効果量)を導き出す分析行為」(Rossi et al.1999)と定義される。

・ブリンカーホフのSCM

・ハーリー・ハトリー(1997)は、次のような比較を行っている。評価は外部によって行われるもの。実績測定は、内部によって行われるもの。

・横断的学問としての「評価学」 統計学や倫理学のような。

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投稿者:関根雅泰

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