○ドナルド&ジェームス・カークパトリック教授達の本
===
『Evaluating Training Programs: The Four Levels』D.Kirkpatrick & J.Kirkpatrick (2006)
・1959年にASTDで4つの記事を書いた。
・4レベル評価モデルのアイデアをどうやって得たか覚えていないが、その元は、ウィスコンシン大学の論文にある。
・効果的な研修プログラムは、10のステップが必要であり、その最終ステップが、評価である。
・研修評価が必要な理由は3つある:
1)組織の目標に貢献していることを示すことで、研修部署の存在と予算を正当化するするために
2)研修プログラムを続けるか止めるか決めるために
3)将来の研修プログラムを向上させるための情報を得るために
・The Four Levels
・行動変化が起こるためには:
1)個人が変化したいという欲求を持つこと
2)個人が何をどうやれば良いか理解していること
3)個人が right climate 適切な風土で働ていること
4)個人が変化することで評価されること
・5つのClimate
1)Preventing 2)Discouraging 3)Neutral 4)Encouraging 5)Requiring
・レベル1の反応評価は、受講者が研修室を去る前の研修直後に行うべき。
・レベル2の学習評価のために、可能なら「実験群」と「統制群」を作るべき。
・レベル3の行動評価のためには、2~3か月から6か月後ぐらいとし、受講者が研修で提案された行動をとるための十分な期間をとる
・レベル4の成果評価でも可能ならば「統制群」を作る。そうすることで、研修以外の要因を消すことができる。
・研修プロフェッショナルは、Control統制ではなく、Influence影響という力を使う必要がある。
・BSCを使い、学習を行動に転移させる(Jamesの文章)
・Eラーニングでの評価(W.Hortonの文章)
●研修評価実践の事例集
・ドナルドのウィスコンシン大学での博論?もあり
・トヨタ自動車販売アメリカ「トヨタ大学」の事例
・シスコシステムズの事例
===
『Kirkpatrick Then and Now』J.Kirkpatrick & W.Kirkpatrick(2009)
○1959年にASTDの記事が発表されてから、50年を祝って書かれた本。ジェームス・カークパトリックが、2015年に来日し開催したセミナー時に購入。
・The Kirkpatrick Four Levels
レベル1:Reaction 反応
学習イベントに対して、受講者がどの程度、肯定的に反応したか
レベル2:Learning 学習
学習イベントに参加することで、受講者がどの程度、目標とされた知識、スキル、態度を獲得したか
レベル3:Behavior 行動
研修中に学んだことを、受講者がどの程度、仕事に戻った時に活用したか
レベル4:Results 成果
学習イベントとその後の定着によって、どの程度の結果が生み出されたのか
・レベル1反応と、学習には高い相関がある。
・学習が起こるときには、
1)知識が増え、2)スキルが向上し、3)態度が変化する
・レベル2と3の間には「大きな溝」がある
・マネジャーや監督者の「目と耳」を借りる必要がある。
・組織が期待する典型的な成果として、生産性の向上、品質の向上、費用の低減、事故頻度の低減と重大事故の低減、売上の増大、離職率の低下、利益の増加がある。
・レベル4は既に測定されているものを「借りる」ことができる
●Donald Kirkpatrickの言
・1959年にASTDジャーナルの編集者ボブ・クレイグに頼まれ、4つの記事を書くことになったと、ドナルド・カークパトリックは、50年後の2009年に出版された書籍の中で回想しています。その中で、彼自身は「4レベルとは、一度も言っていない。しかし、誰かがそう呼び出した。」「〝カークパトリック・モデル″とも言っていない。しかし、研修の実務家たちが、こう呼び出した。」と語っています 。
・そんな彼に対して、1992年に、カリフォルニアの友人ジェーン・ホルコムが「あなたが昔書いた研修評価の記事が見つからない。一度、本人の口から“研修評価”について語ってみたらどうか」と薦められたそうです 。そこで、1994年に「研修プログラムの評価」という書籍を出版し、その後、2版、3版と版を重ねていきました。
●Jack Phillipsの言
・1960年代に、「4ステップ」の考え方を知った。当時、私はロッキード社の研修開発機能のスタッフであった。当時、評価プロセスの向上に取り組んでいた。
・私の統計における修士論文のテーマに、研修のインパクトと金銭的価値を選んでいた。その研究を進める中で、4ステップにより興味がわき、1974年にドナルド・カークパトリックにコンタクトし意見交換をした。
・研究を進めていく中で、ROIは、カークパトリックのレベル4成果には、当時入っていなかったため、新たなレベルを加えた考え方を提示した。
・1983年に「研修と評価測定手法ハンドブック」という書籍を出版し、その中で、ROIも含めたレベルを提示した。
・1992年には、ASTDから、ROIを測定した事例集を出版した。ドナルドは、この本の序文を書いてくれている。
●1959年と1960年の記事
・Techniques for Evaluating Training Programs
・Step1-Reaction
Step2-Learning
Step3-Behavior
Step4-Results
●James Kirkpatrickのパート Now:Beyond the Four Levels
・2009年に「カークパトリックの基盤原則」を明確化した。
・レベル4から考える。
・「成功とは?」「どんな証拠が必要?」「どうすれば成功したかどうかを測れる?」
・目標が不明確であったり、共有されてない場合は、研修に関わらない。・レベル4の成功について、jury陪審員たち(ステークホルダー)は、知らなかったり、まだ考えていなかったり、非現実的な期待を持っていたりする。そこを、我々との対話を通して明確にしていくのだ。
・ROE:期待に対するリターン
・陪審員たちが、「期待」を定義する
・誰が陪審員となるのか。鍵となるステークホルダー(利害関係者)は誰か
・2005年のASTDのレポートによると、91%の研修でレベル1の評価が行われている。
・2000年のマクマーラーによるASTDの調査では、13%の組織がレベル3の評価を行い、レベル4は、3%であった。
・レベル1と2は、研修のコントロール下にある。
・研修後のコントロールは難しいが、それを我々の責任として可能な限り関わっていく必要がある。
・研修受講者こそが、本当のスターであり、学習者中心で考えるべきである。
・事業パートナーにとって重要なのは、レベル4.研修プロフェッショナルにとって最も重要なのは、レベル3である。
・レベル4の測定は簡単である。なぜなら、それらは既に集められているデータだからである。
・レベル3は「ミッシングリンク」と言われる。研修も現場も関わらない。
・2006年のASTD調査では、研修が失敗する原因として
20%が、研修前の準備の欠如
10%が、研修設計、開発、運営手法の間違い
70%が、現場マネジメントの支援の欠如、研修直後の活用機会の欠如
・特定の観察可能で、測定可能な行動の定義が必要
・研修では、受講者が仕事に戻った際に、Critical behaviors重要な行動をとれるよう準備をするのである。
・学習目標は、仕事での行動と結びついている必要がある。
===
コメントフォーム