研修転移のルーツ(4)フレイシュマン(1953)

ライブ配信

ラーンウェル代表の関根です。

2022年5月2日(月)朝5時55分~6時15分、ライブ配信を行いました。

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・連休はのんびり。昨日(5月1日)は、家族で映画に。

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・Baldwin & Fordバルドウィン&フォード(1988)のレビュー研究で取り上げられていた企業における転移研究で、一番古かったのが、フレイシュマン(1953)。

・フレイシュマンは、オハイオ州立大学のリーダーシップ行動の尺度「構造作り」と「配慮」(Hemphill,1950を使用)を使い、質問紙調査を実施。

・その結果、監督者のリーダーシップ態度と行動は、上司のリーダーシップ行動と関係していたことが明らかになった。

・上司が、配慮行動をとっている職場の監督者は、従業員に対しても、配慮行動をとっていた。いわば、研修の影響よりも、上司による「Leadership climateリーダーシップの雰囲気」のほうが、監督者の配慮行動、構造作り行動と関係していたのである。

・この研究から、リーダーシップ研修単体で変化をもたらすことは難しく、Back-in-the-plant工場に戻ってからの上司による「リーダーシップの雰囲気」が重要な変数であることが明らかになった。

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・連休中は、安岡正篤先生関連の本を読む。

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・今日は、ライブ参加 4名でした! ありがとうございます!

次回は、5月9日(月)5時15分から、15分~30分程、テーマは「転移のルーツ(5)」です。お楽しみに!

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●参加者の楠田リエさんのメモ(ありがとうございます!)

2022/05/02MMMT「研修転移のルーツ(4)」メモ

マンデーモーニング、学びタイム!

毎週月曜日、朝5:15~

★記録者:楠田

<楠田個人の振り返り>

企業研修における転移研究のルーツを学んだ。その研究結果から、日々の配慮行動の大切さが導かれ、なんというか、嬉しい結果だなあと感じた。「大事なのってそこだよなあ」としみじみ納得した。フレイシュマンの研究で言われている、「研修単体で人の行動に変化をもたらすことは難しい」ということを踏まえて研修を設計する必要があるのだと理解した。「強化」という単語が何度か登場したが、研修を1回やっただけで良い効果が生まれると期待するよりも、日々の積み重ねで「強化」していくことが大切だと学んだ。

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<オープニング>

みなさんはどんな連休をお過ごしでしょうか?

(関根さん)

ご家族6人で映画館へ。

<ボディ>

■企業研修における転移研究のルーツ

今回は、企業研修における転移研究のルーツということで、フレイシュマン(1953)を取り上げる

そもそもなぜ、企業研修における転移研究のルーツをフレイシュマン(1953)としたのか?

バルドウィン&フォードのレビューから

レビューというのは、これまでどんな転移の研究があったのかということをざーっと読んで分かりやすくまとめてくれたもの

1988のレビュー研究以降、研修転移が盛んに研究されるようになった

ソーンダイク1901からレビュー研究は始まっている

学校の生徒や大学生、軍人を対象にした転移研究は多い

企業の研修についての研究も少なからずあった

それを見ていくと、一番古いものがフレイシュマン(1953)だった

これが転移研究のルーツではないかと思われる

■フレイシュマン(1953)はどんな研究だったのか?

オハイオ州立大学のリーダーシップ行動の尺度を使って質問紙調査を行った

オハイオ州立大学のリーダーシップ行動の尺度というのは、「構造作り」と「配慮」

「リーダーシップって何ですか?」と言われたら、大体この2軸で説明がつく

オハイオ州立大学だけでなく、ミシガン大学や、九州大学でも

九州大学の三隅二不二先生「リーダーシップ行動の科学」(1978)

国内でも、PM理論(パフォーマンスとメンテナンス)ということが言われている

パーフォーマンスがここでいう「構造作り」(業績面)

メンテナンスがここでいう「配慮」(人間関係の維持)

リーダーシップといえばこの2つであるというのがロバスト(頑健)

非常に使える尺度

フレイシュマンもこの尺度(質問紙の項目)を使った調査を依頼した

■研究によって明らかになったこと

当時は今のようにWEBで便利に回答などできなかったので、紙などで回答

メインは工場の監督者を対象として、上司と部下の調査を行った

その調査対象を4つのグループに分けた

1.リーダーシップ研修を受けていない人たち

2.リーダーシップ研修をつい最近受けたという人たち

3.リーダーシップ研修を1年以上前に受けた人たち

4.リーダーシップ研修を2年以上前に受けた人たち

その結果明らかになったことは、研修の影響よりも、上司によるリーダーシップの雰囲気の方が、監督者の配慮行動、構造作り行動と関係していた

どういうことか?

研修を受けなかった群と受けた群、受けた群の中でも結構前に受けた群と最近受けた群、など色々分けたものの、結局研修はあまり影響していなくて、自分の職場の上司が自分に対して配慮行動をしてくれているのであれば、監督者も自分の部下に対して配慮行動するということだった

言ってみると、フレイシュマン(1953)の時点で、研修単体で人の行動に変化をもたらすことは難しいですよと

Back-in-the-plant

工場に戻ってから、あるいは職場に戻ってからの上司によるリーダーシップの雰囲気が大事ですよということを明らかにした研究だった

普段仕事をしていて、人間関係に配慮してくれるような、感情面とか、声掛けとか、気遣うような行動をとってくれる上司がいた場合に、そういう行動を受けている監督者も自分の部下に対して配慮するような行動をとっていた

「休みの日どうだった?」「家族でどこか遊びに行った?」など

研修の中でも、そういった配慮行動がリーダーとして大事であると言われると、「そう言われてみるとうちの上司もそういう行動をとっているし、やっぱりこの行動は正しいんだな」ということがより強化され、配慮行動が行われるという結果だった

渡邊壽美子さん:研修よりも上司の配慮。なるほど。

「じゃあ研修をやっても意味がないじゃないですか」、ということになっちゃいそうだけど、そんなことはなくて

例えば、先程述べたように、普段自分が受けている行動を研修によって言語化されて、「あっ、上司がやっている行動ってこれだったんだ」とこの研修で配慮行動だったということが言語化されて納得すると、より行動に結びつきやすいということも言える

(もちろん前提は、上司がそういう行動をとってくれているから、研修によってより強化され、自分が納得して現場で行動しやすくなったということかもしれないが)

現場に戻ってからの雰囲気の方が大事だったということ

■ドナルド・カートパトリック「職場の雰囲気の5段階」との関連

「研修転移とは(3)」でもお話しした部分に関連

ドナルド・カートパトリックが職場の雰囲気を5つの段階に分けて説明している

「抑止的」「やる気をそぐ」「中立的」「奨励的」「要求的」

ドナルドさんはどうしても研修中心でお考えになるので、研修で学んだことを現場で奨励するだとか、「ぜひやれ!」と要求的な言葉を使っているが

今回のフレイシュマンの研究結果を見ていくと、職場の雰囲気はなんとなく「要求的」とまではいかないけど、「奨励的」だったのかなと思われる

つまり、上司がそういう行動をとっているから、自分もそういう行動をとってもおかしくないよね、と励まされる

上司たちはこのリーダーシップ研修を以前に受けているのか受けていないのかは書いていないので分からなかったが、そういう行動をとっていて、こういう行動を部下に対して行うのは当たり前なんだと監督者が思うのであれば、行動するにあたり励まされるので、職場の雰囲気はドナルドさんが言うところの「奨励的」だったのかなと考えることができる

楠田:教える側は日々のあり方が大事なんだなあと思いました!

重久亜希子さん:よく分かりました。ありがとうございます。

■「日々のあり方」「Being」ということで・・・

連休中は安岡正篤先生の本を読んでいる

企業研修の世界では「人間力」という言葉を使うと敬遠されたりするが

それでもやっぱり人格って大事だなあと

鍛える側・教える側のあり方がきちんとしていないと

きちんとしていない人にいくら言われtれも説得力がないでしょうし

こういう研究は西洋の研究が中心になるが、東洋の古典の中でも学びになるものは多い

西洋の研究のエビデンスももちろん大事だけど、東洋の古典と両方を学ぶ必要があるなと

渡邊壽美子さん:関根さんの声を、聞くと元気が、出ます。部下に配慮したいと思いました。人格磨き精進します。

(関根さん)

「元気出る」って言ってもらえると嬉しい

冒頭の「MMMT~」もそこを意識している

月曜日の最初に元気が出て、「今日も頑張ろう」「学んでいこう」と思ってもらえたら嬉しい

重久亜希子さん:何を学ぶかより誰から学ぶか、誰と学ぶかが研修転移のポイントでもあるのだと思いました

(関根さん)

あり方のしっかりした人から学など・・

whatよりもwhoという感じでしょうか

<クロージング>

「あり方」として、こういう人と学びたいと思ってもらえる自分であるように、今週も本を読みながら学んでいきたいと思います!

みなさんも、良い連休を!

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投稿者:関根雅泰

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