○「教育評価」に関する本
===
『教育評価 第2版補訂版』 梶田叡一(1983)有斐閣双書
・教育評価と教育測定との混同が広くみられる。
・評価の持つ基本的性格:
1)実態把握 2)測定 3)目標到達性の把握 4)査定
・Fisher,G.(1864)による尺度簿(Scale Book)の試みは、50年後に、Thorndike,E.L.らが教育測定運動を展開した際に、大きなよりどころになった。
・教育目標の行動的記述の必要性については、1931年に、Tyler,R.W.によって主張されている。
・根本的な批判は、行動目標の考え方が「学習とは行動の変容である」という行動主義的、操作主義的な学習観を前提としている点に向けられている。
・現実の教育評価の在り方が、きわめて非教育的なものになっている。
・重要な学習のすべてが、その直後に、あるいは学習後あまり遠くない時間内に、観察可能な変化をもたらすのかどうか、といった点については、疑問を持たざるを得ない。
・形成的評価(Formative evaluation)という言葉を初めて用いたのは、シカゴ大学の哲学者Scrivan,M.(1967)である。
・形成的評価の機能モデル
・教育評価の類型
・相対評価と絶対評価を区別する点は、評価基準の取り方に他ならない。
・相対評価とは、優劣の評価。
・絶対評価とは、目標到達度あるいは基準満足度の評価。
・正規分布に基づく相対評価という考え方は、第2次大戦後の新教育において、アメリカの教育学者たちの強い助言と指導により、日本に本格的かつ全面的に導入された。
・戦前の日本における評価方式は、基本的には、認定評価的性格を持つ絶対評価であったという事実は、決して見落とされてはならないだろう。
・教育目標のタキソノミーの全体的構成
・「開・示・悟・入」とタキソノミーの主要次元
・目標、指導、評価の総合的な理論的枠組みを、欧米流枠組みの直輸入でなく、東洋的あるいは日本的な感覚に根差すものへと組み替えていく必要があると考えている。
・日本の学校教育では「示」ばかりが肥大化して独り歩きしている。
○「開・示・悟・入」って、いいな~。
・評価基準の立て方と、それが人間形成に及ぼす影響
・結局、教育成果を左右するものは、何よりもまず、教師の姿勢や態度、能力なのである。
・良い授業は、本来、技術や手法のよさに還元できぬものなのである。
・人間的な迫力なり存在感なりがあるかどうか。
・子供の心をきちんとつかんでいるかどうか。
・自分の人間としてのあり方のすべてをさらけ出してしまっているのである。
○この辺は、大人向けの企業研修講師も一緒だな~。
・学校教師に不可欠な能力、特性(コンピテンシィ)
・教師の一言で、そこを突破できるからこそ教師なのである。
・教科書に載っていることの背景にこれほど広く深い世界が広がっているのかと子供の視野を一挙に開いてくれるからこそ教師なのである。
○この迫力、凄い。そういう教師で、自分がいれるのかどうか。人様に教える立場にいる者として、突き刺さってくる。
・我が国の組織的な学校教育は、7世紀の天智朝に創設された律令制下の大学に始まる。
・ソーンダイクらによって1910年代からアメリカで盛んになってきた教育測定運動の波が、わが国にもおよび、客観的検査法、科学的評価法を主張する声が強くなった。
・正常分配曲線の考え方が、その後の日本の教育界を強く呪縛し続けたことは、大きな不幸ではなかったであろうか。
===
『教育心理学I 発達と学習の心理学』 大村彰道(編)(1996)
第12章
・教育評価(Educational evaluation)とは、評価する者が、評価される者を、なんらかの価値基準(評価基準)にもとづいて、「値ぶみ」をされる営みにほかならない。
・教育評価の本来の目的は、評価の結果を、学習者の学力形成さらには、人格形成に役立てるところにある。
・4つの評価方法:
1)事前的診断的評価
2)形成的評価
3)総括的評価
4)原因把握的診断的評価
‐‐‐
・文章題というのは、一般には「部分ー全体」の関係を、子供に推理させることを要求している問題と言える。
・有理数(分数)の概念を、子供が公式の教授介入なしで、理解することはかなり困難であるといってよい。
・心理学においては、学習とは、経験によってもたらされる比較的持続的な行動の変容を意味する。
・オペラント条件付け operant conditioningの研究は、その起源を、Thorndiike(1911)の効果の法則に求めることができる。
・オペラント条件付けの原理を、教育場面に応用したものに、プログラム学習がある。
・プログラム学習の特徴:
1)積極的反応の原理 2)スモールステップの原理 3)即時確認の原理 4)学習者自己ペースの原理
・Bandura(1977)は、知覚された効力期待を「自己効力 self efficacy」と名付けた。
・近い目標を持つことが、自習状況での児童の自己効力と学力の進歩にもっとも有効だった(Bandura &Schunk,1981)
・構成主義とは「知識は伝達されるのではなく、構成される」とするピアジェ理論の立場である。ピアジェは、個人の発達を扱ったことから「個人的構成主義 personal constructivism」としても位置付けられる。
・近年、ピアジェの発達段階説への批判と切り崩しがなされたこともあり「社会的構成主義 social constructivism」が注目されている。
・社会的構成主義の教授学習理論は、知識習得3段階モデルに基づくものである。
===
コメントフォーム