○人的資源、人事、研修、講師に関する本。
===
『入門 人的資源管理』奥林・上林・平野(編著)(2003)
・ヒトに関する管理活動は、人事管理、労務管理、経営労務、労使関係、人材マネジメントなどと呼ばれてきた。
・1980年代以降、これらの活動を「人的資源管理 Human Resource Management」と呼ぶようになった。
・人的資源管理の基本的課題は、労働者における自律性と他律性の矛盾を考慮しながら、組織の課題としての経営効率と労働者の人間性をいかに統合するかである。
・一人のマネジャーが管理できる部下の人数には限界がある。
・管理の幅(規制範囲、Span of Control)は、概ね10人前後が妥当な人数。
・分業しすぎても、緩めすぎても。
・このバランスをうまくとることができる企業が、人を上手に管理できていて、効率も上がっている企業だということができる。
・日本の会社の分業は緩い。
・日本的経営の重要なエッセンスは、多能工を生み出した仕事、組織のあり方である。
・「緩い分業」という特徴こそが、日本企業における人的資源管理の諸制度のあり方を、アメリカのそれらから異ならせている基礎となっている。
・組織が、どのような人材に価値を置いているのか(偉さの基準)を仕組みとして表現したものが、人事等級制度なのである。
・「あなたにいくら」の世界が、職能資格制度。
「あなたの椅子にいくら」の世界化が、職務等級制度。
・OJTのメリット:
1)特別な費用がかからない
2)現場での活きた知識や技能を経験させながら教えることができる
3)各従業員の能力や必要性に応じて、教え方や教える内容を変えることができる
4)教えられる人はもちろんのこと、教える上司や先輩の成長の機会にもつながる
・OJTのデメリット:
1)上司や先輩によって、効果にバラつきが生じる
2)仕事に追われて時間的余裕がない場合、OJTが行われない可能性がある
3)実践的な知識や技能に偏り、仕事の全体に関わる体系的な知識が得られない可能性がある
4)上司と部下の関係が良好かどうかによって、OJTが適切になされるかどうかが影響を受ける
・ホールドアップ問題とは、関係特殊的な資本への投資に関して発生する問題をさす。
・技能系職務ではなく、事務系ホワイトカラーの職域の技能伝承については、これまで事例はほとんど報告されていない。
===
『人事の定量分析』林明文(2012)
・現在の日本の人事管理レベルは、危機感を覚えるほどの低いレベル。
・抽象度が高く、合理性が低い中での議論が多すぎる。
・人事管理の分野では、使用する言語が共通化されていない。
・人事管理に、合理的、科学的視点が欠如している。
・企業データで、下記があれば、分析が可能
1)過去の損益情報(6期以上)
2)現在の社員一覧
・付加価値における人件費の比率(労働分配率)が、理論妥当性の高い人件費分析と言える。
・付加価値:総人件費、租税公課、動産・不動産賃借料、営業利益の総額。
・労働分配率=総人件費/付加価値
・経営計画の予想とは、主要な勘定科目の予想をすること。
・本来は、業績が好調であれば、その人件費として期中に社員に分配することが望ましい。
・非正社員の人数のコントロールを行うことが、管理上は実施しやすい。
・一般的に、年収は、月給と賞与で構成される。
・社歴が長い日本企業で最も多くみられるのは、管理職社員が、必要以上に多いという現象。
・理想的な人員構成は、ゆるやかな「富士山型」が望ましい。
・年齢別人員構成
・60歳~65歳までの社員の戦力化
・安定した人事管理を行うためには、自己都合退職率が、5%以下であることが望ましい。
・生産性指標で最も正確で合理性の高いものは、労働生産性。
・労働生産性:社員一人当たりの付加価値額(付加価値額/人員数)
・職種別の人事、賃金制度が浸透する可能性が高まる。
・自己都合退職の理由:
1)会社、ブランド 2)職場、人間関係 3)人事、処遇
・HP,APは流動を防止し、LPは流動を促進。
・人件費配分妥当性
・新卒採用抑制は、短期人件費削減施策として有効であることは確かだが、将来の継続的成長のためには、一定数の採用が必要。
・能力評価と業績評価の結果が連動していること。
・評価の甘辛の可能性を検証。
・近年の日本企業では、適性人件費分析を実施すると、人件費が過剰であるという結果の出る企業が多くみられる。
・高年齢の社員に対しても、戦力として、モチベーションをあげて活用していく必要がある。
・平均年齢が、40歳を超える職場では、一般的に活性化が難しいと言われている。
・労働市場との関連の中で、最適な人員数、人員構成を維持することが必要な環境となった。
・主要な人事機能
・人事の改革が推進できない原因:
1)過去の人事管理との関係
2)役員の人事制度が不明確
・まずは、役員の登用、報酬、評価、教育などの人事管理を改革することを先行させるべき。
===
『成功する研修設計入門』 秋葉・佐々木(2021)
・研修という仕組みの限界とは、後のフォローが難しいことにある。
・研修は「きっかけづくり」には非常に優れた手段。
・引かれる数(理想の人材像)ー引く数(対象者のリアルな現在)
・研修とは、講師と受講生がインタラクティブに作り上げていくもの。
・講師とは、教える人ではなく、自らのインプットをもとに確かな「アウトプットを引き出す人」のことを言う。
・研修の営業と講師が同じであることが最も確実。
===
『超人気研修講師になる法』白戸三四郎(2019)
・日本人の全年齢の給与所得者の平均年収は、約420万円。
・月35万円×12か月。
・企業研修を行う上で、講師がゴールとして考えるべきこと:
1)学習効果 2)研修転移
・企業研修のゴールは「学ぶことではなく、実践されて成果を上げる」こと。
・研修エージェント活用のメリットとデメリット
・企業の研修担当者からみた「次からは遠慮したい講師」の特徴
-受講生に偉そう
-逆に謙遜しすぎて頼りない
-服装が企業向けではない
-覇気がなく、具合が悪そう
-毎回まったく同じ話で、ブラッシュアップしない
-話が長い、面白くなくて寝ている人が多い
-受講生の課題に共感しない
-寝ている人に怒る
-受講生の発言を否定する
-態度や言葉遣いが悪い
-他企業や他人の悪口を言う
-様々な価値観がある事柄について断定的に話す
-ジェンダー差別発言や下ネタを言う
-休憩時間にどこかに行ってしまう
-間違ったデータや知識を使っている
-決められた研修時間を守れない
・多くは「人としてダメだ」というレッテルを貼られている。
・講師は、受講生の上司ではないし、受講生は講師の弟子ではない。
===
『人は誰でも講師になれる』中谷彰宏(2012)
・いい生徒になれる人は、いい講師になれる。
・講師の圧倒的な条件は、健康であること。
生徒は元気をもらって帰る。
・生徒は、健康状態のいい人の話を聞こうとしている。
・遠くから来る依頼は、そこに何かの縁がある。
・「予算の範囲内で」というのが最も迷いのない方法。
・メニューの額を出して「あとは予算に応じる」という。
・反論されたら「あなたが正しい」と言って終わらせる。
・来てもらって困る人は、出入り禁止にして、きちんと断る。
===
コメントフォーム