○比企起業大学の課題本『新・起業学入門』の高橋先生の本。
===
『起業学の基礎』高橋徳行(2005)
・大企業よりも経営成果の優れた中小企業が数多く存在する。
・小零細企業新規開業実態調査(昭和44年度)では、起業家の労働時間が平均11時間ほどであった。
・起業活動 entrepreneurship とは「事業機会を認識し、それを実現するための組織形成にかかるあらゆる機能、活動、そして行為」である(米国バブソン大学 W.バイグレイブ教授)
・シュンペーターの意味する「起業家」は稀。
・SOHOは、起業の際、金融機関からの借り入れをしないケースが多いので、国金調査からの対象から漏れ、また法人設立をしないので、東商リサーチ調査にも含まれない。
・起業家をゴールとして、キャリア形成をしてきたのではなく、あるきっかけ、つまりトリガーイベントの対応の結果の一つが起業家であったと考える方が、素直に説明できる事例が少なくない。
・事業機会を客観的に評価する方法としては、ポーターの「5つの力 Five Forces」分析が、今もって有効である。
・「起業家の能力とは、不確かな未来を確からしく見せる能力。」
○「三位一体経営」でいう所の、Idiosyncratic vision その人にしか見えない未来、事業仮説ということかも。
・有効に策定された戦略のほとんどが失敗している。
・Kiechel(1982)では、優れた戦略の90%以上が、実行段階で失敗していると報告。
・相性と目標の共有。これが創業メンバーを選ぶ時の基本であろう。
・起業家が成功するかどうかは、起業後の学習能力に依存するものの、それは起業前には誰も知ることができない。
・ビジネスエンジェルとも呼ばれる個人投資家。「血縁関係のない人にリスクマネーを供給する、事業経験豊かな富裕層の個人」と定義される。
○最初の資金調達だけでなく、事業継続のための発注(お金を払って、お客様になってあげる)という支援もあるのでは。それが実績となり、他のお客様獲得への足掛かりになる。
・倹約の精神があってこその資金調達である。
―――
●起業家教育 セルフウィングの事例
・お金を稼ぐというリアリティを教えないで、高額なお小遣いやプレゼントを受け取っている子供の将来こそが危ういものであり、お金は天から降ってくるものではないことを教えるには、起業家教育が効果的であるとの指摘。
・起業家教育の大きな目的は、生きる力を育てることであり、そのためには、
1)失敗から学ぶこと
2)他人との違いを認識すること
3)協力し合うこと が重要である。
●ハーストーリーの事例
・養成講座とリクルーティングが一体となっているシステムは非常に効果的なs組。
・「うちは女性マーケッターを育てる会社」
―――
・成長段階によって経営問題の優先順位が変化することは、多くの経営学者が認めること。
・最初の問題は、
1)受け入れられるか 2)届けることができるか 3)採算がとれるのか
・H.L.Ansoffアンゾフのマトリックスは、事業の展開方向にヒントを与える。
・既存事業で培った何を、次の事業に振り向けるか。
・「日本においては優秀な人材は大企業の中にいる。外に出れば何倍もの力を発揮できる人が埋もれている」(サイボウズの高須賀氏)
・不確実性の中で、非戦略的な行動を積み重ねることによって事業コンセプトを創り上げた企業は少なくない。
・非戦略的な部分が多いところに、一般の経営活動との大きな違いがある。
・試行錯誤を繰り返しながら、非戦略的に起業活動が進むからこそ、不確実性のために既存企業は要因に新規事業に参入することができない。
・起業活動の非戦略的側面として「とりあえずやってみる」行動力がある。
・不安と戦う起業家
○これあるな~。自分も独立初期(2005年)貯金が半年でどんどん減っていく怖さがあった。
・「学習」する起業家は、より長く生存する。
・B.Javanovicジャバノビッツ(1982)は、企業家的才能をセータの値が高い個人は、企業経営者として生存する確率がより高いとしている。
・一度起業家になると、セータは学習と経験を通して、時間の経過と共に上昇すると仮定されている。
○この論文、読んでみよう!(アクセスできず読めず。その代わり、違う論文を読めた)
・起業活動を支える柱の一つは「真面目にコツコツ」という姿勢である。
・異質性が時間をかけて作り上げられたものであることが指摘できる。
・「中小企業に広い商圏はいらない」
===
●参考
Selection and the Evolution of Industry
Boyan Jovanovic
Econometrica
Vol. 50, No. 3 (May, 1982), pp. 649-670 (22 pages)
https://www.jstor.org/stable/1912606
An Estimated Model of Entrepreneurial Choice under Liquidity Constraints
David S. Evans & Boyan Jovanovic 1989
・Liquidity Constraints 流動性制約、借入制約
・Knight と Schumpeterの論争
・Frank Knight(1921)は、資本市場が、起業家に対して資金供給をしないので、起業家自身が失敗するリスクを取りながらも、自己資金を準備すると考えた。
・Joseph Schumpeter(1934、1950)は、起業家と投資家の機能は分かれている為、起業家が事業機会を発見したなら、投資家が資本市場を通じてリスクを肩代わりすると考えた。
・我々の分析では、シュンペーターの考えが否定され、ナイトの考えが支持された。
・分析では、アメリカの縦断的調査を使用。
・1976年時点で勤め人だった白人1949人のうち、89人(4.5%)が、1978年の時点で起業 self-employmentした。
・セータ θ は、Entrepreneurial ability 起業家能力を指す。
・セータが高い人々は、起業家になる可能性が高いと考えられる。
・流動性制約により、資金が起業家に流れていない。
・流動性制約がなければ、起業家になる確率が、3.81%から5.11%に上がった可能性がある。流動性制約により、1.3%の人々が起業家になるチャンスを絶たれたと言える。
・本稿での発見事実は、Fazzari, Hubbard, and Peterson(1987)が資本市場の不完全性を明らかにした研究とも通ずるものがある。
===
コメントフォーム