○『THE KAISHA』で紹介されていたみさき投資の中神さんの本。神田昌典さんも読書会をされるということで、読んでみた。この本もすごい!
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『三位一体の経営』中神康議(2020)
・会社が良くなれば、株価も上がる。このシンプルなロジック。
・「みなで豊かになる経営」へのロードマップ
・「複利」では元本と利子の両方に新たな利息がつく。
・経営の4つのタイプ
1)額の経営 2)率の経営 3)利回りの経営 4)複利の経営(複数年で利回りを上げる)
・利回りを長く続ける「複利の経営」こそが、株式価値を高め「みなで豊かになる経営」につながる。
・超過利潤と複利の関係
・What kind of business are you in? 事業を突き放して抽象化する
・すべての事業は、4つの「型」に分類できる
・コスト構造によって、ほぼ自動的に儲けの出方が決まってしまう。
○LWは、顧客別に、固有コストがかかる。
ただし、商品を絞り込んでいるので、共有コストを少しは下げられているのかも。
・領域に特化し、そこだけに共有コストをかけ、その領域だけでシェアを追求する。
・利回りを意識すれば、利益を見る目が変わる
・真の障壁は、3種類しかない
・障壁1コスト優位:低原価、独占的技術
・障壁2顧客の囲い込み:習慣化、スイッチングコスト、サーチコスト
・障壁3規模の経済と顧客の囲い込みの組み合わせ
○LWでは、顧客の囲い込みという障壁は意識してやってきているかも。
・理想は「小さな池の大きな魚」
・戦略とは障壁を築くこと。
・儲けが生まれるメカニズム
コスト→プロフィット(採算) リスク→リターン(報酬)
・「呆れるほどのコスト」と「腰が抜けるほどのリスク」という圧倒的な投下資本により障壁をつくる。
・Idiosyncratic vision その人にしか見えない未来:事業仮説
・オムロンの車載事業売却 山田CEO「事業部品のモジュール化がどんどん進む」
・ROA Return on Assets 総資産利益率=支払利息・税金控除前利益(EBIT)/総資産(BSの左側資産の全て)
・ROIC Return on Invested Capital 投下資本利益率=事業利益/投下資本(総資産‐運転負債) 事業そのものの稼ぐ力をストレートに表現
・ROE Return on Equity 株主資本利益率=当期純利益/純資産
・資本生産性指標の理想的な関係
ROE≧ROIC≧ROA>WACC(Weighted Average Cost of Capital加重平均資本コスト)
「超過利潤を出す」ということは、資本生産性が資本コストを超えること。まずは、WACCを超える。
・WACCは、BSの右側全体なので、BSの左側全体から生まれている資本生産性が、これを超えているか。
・適度に借り入れを活用して、高いROEを実現するという経営もある。
・会社とは運命共同体である:法人実在説
企業は売買可能な資産:法人擬制説
・CEOの選解任が、ガバナンスの一丁目一番地。
・ダイバーシティで本当に必要なことは、思考と技術の多様性。
・新日本的経営
1)運命共同体性を強くもつ日本企業こそ、内部者の株式保有率を高める
2)共同体メンバーが企業価値向上の価値を豊かに享受し「皆で豊かになる」
3)そのために、厳選投資家の思考を深く理解し、技術を直接導入する。
・皆で働く株主になる。
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・トレードオフを、トレードオンに転化することに「長期」の本質がある。
・論理的な確信こそが、経営者の勇気の源泉。
・「経済のエンジンは企業。企業のエンジンは経営」
○ここに竹田先生の言葉をプラスするなら「経営のエンジンは、お客づくり」かな。
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○勉強になったので、中神さんの前著も読んだ。
『投資される経営 売買される経営』中神(2016)
・投資事業は付加価値が薄い。
・良い会社を安く買える時期こそが、投資家の真価を問われる時期。
・資産バリュー「ゼロからこの会社を作り直すとしたら、一体いくらかかるのだろう?」
・みさきの公理 V=(b × p)m
・会社をダメにする経営者 ウォーレン・バフェット曰く「ABC」
Arrogance 傲慢 Bureaucracy 官僚主義 Complaency 現状への満足
・弛まない「m」の改善こそが「投資される経営 売買される経営」の分岐点。
・経営の大敵はいつも、妙な先入観、観念論や思考停止。
・自らの内なる声に従い自律的に経営していく以外に厳しい競争を勝ち抜いていく道はない。
・経営の大敵は、緩むこと。
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・経営のゴールは、長期継続的な利益を稼ぐこと。
・経営者は、競争市場における長期利益だけを考えていればよい。
・本当の顧客は誰か。戦略作りの一丁目一番地。
・V=Mm (M=b×p)
・投資家の使い道は、mにある。
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