【木曜日22-52】Self-employment 文献(4)

木曜日

【木曜日22-52】Self-employment 文献(4)

○起業家が育つ環境に目を向けた論文

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Cohen,B.(2005)

Sustainable Valley Entrepreneurial Ecosystems.

Business Strategy and the Environment
Published online in Wiley InterScience (www.interscience.wiley.com). DOI: 10.1002/bse.428

○法政大学GMBAの学生さん達に紹介された論文。

・Sustainable Entrepreneurial Ecosystems(SEE)は、新しいベンチャー企業の支援と促進を通じた持続可能な発展を、ローカル地域コミュニティーに対してコミットする相互につながったActors役割者のグループである。

・カナダのブリティッシュコロンビア州の州都 ヴィクトリアを事例に検討。

・EEのシステムコンポーネント:(Neck et al.2004)
 1)Informal network 2)Formal network 3)University 4)Government 5)Professional & Support services 6)Capital services 7)Talent pool(従業員候補)

・非公式なネットワークに、助言、メンタリング、モラル支援を期待。

・Physical infrastructure 物理的なインフラも重要。家の値段や供給。交通機関。
・シリコンバレーは、アメリカの平均的な家賃の4倍になっている。

・Cultureには、地域の自然地形、気候、市民の集合的関心と知識、コミュニティの集合的スピリットが含まれる。
・アウトドアでのレクリエーショナル活動も重要。

・SEEの背骨となるのは、地域の自然環境とコミュニティの文化である。

○Start-upsの集団を前提にしているが、Self-employed自営業の集団ならどうか?
 
 1)Informal network 5)Professional & Support services は必要だと思う。

 ときがわに魅力を感じる人は、その自然環境 Natural environmentと、
 接する人達の人柄 Culture of the community? にも惹かれてくれているのかも。

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Heidi M. Neck, G. Dale Meyer, Boyd Cohen, and Andrew C. Corbett(2004)

An Entrepreneurial System View of New Venture Creation.

Journal of Small Business Management 2004 42(2), pp. 190–208

○上の論文で引用されていた Neck et al.(2004)の論文。

・アメリカ コロラド州 Boulder郡

・Entrepreneurial Systemとは、地域の起業パフォーマンスを決定づけるアクター、役割、環境の相互活動(Spilling,1996)

・Spawning effect 産む効果 
・Malecki(1997)によると、高いレベルの起業家活動が地域にあると、将来の起業家を生み出すことがある。
・組織は、mimicマネする傾向がある(DiMaggio and Powell 1983)

・似たような新しいベンチャーが、地域に生まれる可能性がある。

・6つの主要なコンポーネンツ:
 1)Incubators 2)Spin-offs 3)Informal Networks 4)Formal Networks 5)Physical infrastructure 6)Culture

・インタビューした起業家の100%が、文化が重要と述べている。

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ANDREW H. VAN DE VEN(1993)

THE DEVELOPMENT OF AN INFRASTRUCTURE FOR ENTREPRENEURSHIP

Journal of Business Venturing 8,21 l-230

・これまでの起業家研究では、個人の特性に目が向けられてきた。
・今後は、社会システムの観点も織り込むべき。

・1)Institutional Arrangements 2)Resource Endownments 3)Proprietary Functions

・技術よりも、社会的、政治的影響の方が強いことが多い。

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Allen J. Scott(2006)

ENTREPRENEURSHIP, INNOVATION AND INDUSTRIAL DEVELOPMENT:
GEOGRAPHY AND THE CREATIVE FIELD REVISITED

Small Business Economics volume 26, pages1–24

・一般的に、起業家は、リスクテイクする、アニマルスピリッツを持つ、自己実現を目指す、独立した個人として描かれることが多い。

・しかし、Product-cycle model(Vernon 1966)では、違った起業家像が示される。新しい産業セクターが生まれたとき、セクター内で起業家が孵化される。そこでは、incubator が重要となる。

・起業家は、自身のビジョン実現に向けて動く孤独な個人ではなく、大きな製造システムの社会的エージェントでもある。

・起業家は、社会的、空間的に埋め込まれた現象であるといえる。

・ネットワークの進化を模式図として示した。

・実証研究の結果、起業家は、自身が住む地域に、会社を立ち上げることが多いことが明らかになっている(Almeida and Kogut 1997他)。

・暗黙知と形式知。Creative fieldでの知識蓄積。

○研究者の知識を得るために、物理的に近い場所にいたほうが良いという知見もあったな~。

>スターサイエンティストの近くにいて、その知識を企業に移転する。そのための移動時間を減らすために、近くにいる。『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経済学』牧兼充(2022)

・暗黙知の転移こそがカギである。

・パリのファッション、ロンドンのシアター、ナッシュビルの音楽、スコッチのウィスキー等、場所と製品の連想がある。

○「ミニ起業」といえば、埼玉県比企郡ときがわ町となったらいいな~。

・1920年代~70年代にかけては、フォードの大量生産が主流であった。
・1970年代~80年代にかけて、イノベーションまたはデザインセンターが増えてきた。

・起業家活動とイノベーションは、社会的、空間的に埋め込まれたプロセスととらえることができる。
・特定の場所と時期に、際立った創造性が発揮されることがある。19世紀のランカシャー、1915年以降のハリウッド、1960年代~70年代のシリコンバレー等。

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投稿者:関根雅泰

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