【木曜日23-01】社長本

木曜日

○年末年始に読んだ本。(ビジネス書5冊)

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『経営の思いがけないコツ』一倉定(1997)

・社長というもは「毛並みの良さ」を絶対に必要とする。氏素性や教養だけではなく、行動半径の大きさ、立派な異業種の友を多く持っていることが大切。

・事業経営とは「市場活動」である。
・内部管理からは、収益は生まれない。

・GMのA.スローンの戦略:
 1)ニューモデルを次々に発売して、フォードのT型を陳腐化する
 2)上記戦略から必然的に発生する中古車の市場を再編成する

○これ、すげ~。特に、2)が凄い。

・社長の努力とは、徹底したお客様訪問のこと。

・シンデレラとは、先方からの飛び込み仕事。

・初心者の社長と先輩社長の最も大きな違いは、お客様訪問回数、素晴らしい自信と柔軟な頭脳である。

・お客様に少しでも恨み心がでたら、もうそのお得意先に誠意を尽くすことはできない。
・だから恨むのではなく、自らの力で新たなお客様を開拓しなければならない。

○ほんとそうだよな~。それができることが「お客様を選ぶ」ことであり、そのためには営業力が必要。

・クレームは、お客様の「怒り」の声である。とにかく謝る。絶対に言い訳をしてはならない。
・クレーム処理は、全ての業務に最優先する。

・お客様に可愛がられること。そのために一番いい方法は「表敬訪問」である。5分程。
・訪問の目的は、売込みではない。お客様との間に良好な人間関係を築くこと。
・お客様に密着することこそ、最大有効の販売促進である。

・環境整備の時間ほど、貴重な時間はない。社員の人間性が全く変わってしまう。
・まず社長が先頭に立って環境整備を行う。正規の勤務時間に、毎日1時間行う。限定した部分だけを磨き上げる。

・独裁はするが、独断はしない。
・社長として一番先にすべきことは、お客様のところを回ること。お客様が教えてくれる。

・事業経営=市場活動は、社長以外にはできない。

○だからこそ、新規顧客の開拓も、既存顧客の維持・フォローも、社長である私がする!
 (提供サービスである研修は、パートナー講師の方々が、やって下さったとしても)

○LWの場合、社長の仕事は「顧客面談(話を聞く)・戦略構想(打ち手を考える)・協力依頼(助けを得る)」ことかな。

・社長最大の怠慢は、お客様訪問をしないこと。
・社長は必ず販売の全権を握っていなければならない。

・売った金額(売上高)-買った金額(変動費:外部仕入)=儲けた金額(付加価値:粗利益)-使った金額(固定費)=残った金額(利益)

・「年計」とは「1年間の数字を、1か月ずつ移動して累計する」という計算法。傾向だけが浮き彫りになる。
・売上年計、得意先別売上高ABC分析、商品別売上高ABC分析の3つの資料

・運転資金と固定資金の定義

・「労せずして大金が儲かる」味を知ったら、面倒くさく、苦労が多い「事業の経営」など、あほらしくてできるものではない。(バブル期に)投機に走り、会社をつぶしてしまう。

・「ランチェスターグラフ」
・地域戦において敵に勝る兵力を持つことによって、戦いに勝つことができる。
・大消費地を狙うな。敵の強い所に近寄るな。

・自社が優位に立って行動できる地域。
・地域の代わりに、特定の業種や業態に絞っても良い。この場合、地域戦略に対して、チャネル戦略と言われる。

○TCは「地域」戦略として、比企郡に絞り込んでいる。(比企で起業するなら「比企起業大学」に入る)
 LWは「客層」「商品」に絞り込み、「地域」での絞り込みはしていない。あえて言えば、東京および大都市圏(車移動が無くて済む場所)かな。

・弱者は常に戦場を絞り、ここに全力投球することこそ生き残る道である。

・日本の自然な経済圏は、江戸時代の藩である。

・ランチェスター戦略とは、細分化したテリトリーまたはチャネルに、敵に勝る戦力を投入することより、占有率を高める戦略。
・最強の戦力とは、訪問回数である。

○となると、やっぱり顧客別の「面談件数」の計画と実績の管理が必要。

・多角化というのは、上手くいくと、相互扶助の関係となり、不足を補いあうことができる。

○LWのR&D機能としてのTC。

・人材は、社長の死に物狂いの努力を見て、これを真似しているうちに、自然に人材が生まれてくるのである。

○やっぱり、一倉先生の本を読むと、身が引き締まる。

●参考:「社長学シリーズ」

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『連結バランスシート経営で会社を強くする』海生裕明(2013)

・社長になるための試験「バランスシートが読めるか?」
・会社と社長は一体として見られている。

・「読める」ということは、数字の「叫び声が聞こえる」ということ。

・現金:現金のままでいいのか?運用しなくてもいいのか?
・預金:預金のままでいいのか?いくらが適正なのか?
・売掛金:本当に将来の入金があるのか?
・有価証券:そもそも投資なんかしていいのか?
・在庫:本当に販売できるのか?
・貸付金:誰に貸す必要があるのか?返済してくれるのか?
・仮払金:なぜ領収書をもらえない相手と付き合っているのか?
・前渡金:前金商売でキャッシュフローは大丈夫なのか?
・建物等:収益を生むのか?維持費はいくらかかっているのか?
・土地:収益を生むのか?維持費はいくらかかっているのか?
・支払手形:いつまで振り出すつもりなのか?
・買掛金:仕入れの計上は、何で、いつ行っているのか?
・未払金:請求書はきちんと整理しているのか?
・未払法人税等:延滞税は高いことを知っているか?(滞納2か月で14.6%)節税ばかり考えているとお金を失うことになることを知っているのか?
・借入金:社長個人が、安易に会社から借りてはいないか?
・資本金:株主は誰か?
・利益:キャッシュとの乖離の原因は何か?

・社長と会社との金銭貸借などは、社長が行ってもいい公私混同。
・会社の資金を社長に流した方が良い。社長個人の現金が不足すると、社長の精神状態が不安定になるから。

○こう言い切ってもらえると、気持ちが楽になる。

・お金のキャパシティとは、捨ててもいい、なくしてもいい金額。

・商売の本質とは「キャッシュの獲得」

・人の活動(=取引)を「仕訳」という技術で記録する。

・経営指標として、まずは、ROA:Return on Assets総資産利益率=経常利益/総資産 を選択する。
・ROAを上昇させるには、分子の利益を上げるか、分母の総資産を圧縮するしかない。

・連結BSでは、債務超過にしないことを財務の目標にする。
・社長の報酬をあげて、社長の個人的な財産を確保すべき。

・試算表は、翌月5日までに作成する。

○LWは、3日~10日までの作成になっているな。

・会社の経営が失敗する原因の多くは、投資に失敗した等によるもの。事業に神経を集中させるためにも、有価証券は売却し、現金にしておく。

・事業承継を上手くいかせるための秘訣。それは承継する事業に存在価値があること。これに尽きる。

・書店の価値:書店が無い町は成長しない。
・悩み苦しみを解決するための言葉に出会えるのが本屋。

○これいいな~。「本屋がない町で子育てしたくない」と、あるお母さんに言われたことも、本屋ときがわ町を始めたきっかけだったな~。

・収益を生まない土地は、維持費がかかるだけ。

・社長の報酬は高い方が良い。社長への支払いは一番後。
・支払い順序を間違えない:1)税金 2)取引先・従業員 3)銀行

・投資は慎む。日本人は投資に向いてない。
・株式投資の儲かる仕組みと、事業経営の儲かる仕組みは、根本的に異なる。

・リスクを考えない社長こそが、リスク。

・損益計算書は、過去の話。
・既に起こった未来が、バランスシート。

・強い会社は、バランスシートが良く、その結果として収益や利益が上がっている。
・バランスシートには「心地よさ」がある。

・何度もBSを眺めてみる。何年か分のBSを比較する。

・保険は、節税のためでなく、事業継続のために入る。
・節税は、お金を1円も支払わずに、税率や納税金額を下げること。

・税金という支出は、会社経営にとって直接的には何も役に立たないと言ってよい。

○そう言われちゃうときついよな~。LWに関しては、日本で事業をさせてもらうための必要経費として、税金をとらえている。もちろん、良く言う「納税こそが、企業ができる一番の社会貢献」もあるけれど。そうでないと、年に数回まとまった現金が出ていく税金を気持ちよく見送れない。

・持たないこと=財産を守ること。これは相続の時にも活きる言葉。

・相続で揉める背後には、女性の存在が見え隠れする。
・自宅は負債。住居費は、収入の30%以下が良い。

・「顧問に聞かないと、こういう案件は、一人では決定できない」と断る殺し文句を持つ。財産保全の最善策。
・「労せずして所得は無い」株も不動産も人任せではうまくいかない。

・従業員→自営業→ビジネスオーナー→投資家の順にお金持ちになれる可能性が大きくなる。

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『弱者の戦略』稲垣栄洋(2014)

○ランチェスター・不倒会 竹花先生のおすすめ本。

・「弱さ」という武器

・強い者は単純に。弱い者は複雑に。

・強者のいない場所や時間を選ぶ「ずらす」戦略。
・「ずらす」戦略こそ、弱者の戦略の神髄。

○この辺は、先日青木さんも強調してたことだな~。

・激しい競争の結果として「棲み分け」が起こっている。

・ナンバー1になれるオンリー1の場所。
・オンリー1というのは個性のことではない。その個性を最大限に活かしてナンバー1になることのできる「ポジション」のこと。
・自らがナンバー1になる自分の居場所を探すことが「ずらす」こと。

・ランチェスター戦略は、生物の生き残り戦略ととても良く似ている。
・局地戦に持ち込み、兵を集中させる。

・天命を全うするために、短い命を選択。世代交代を早める。

・低くすることは、身を守る基本。

・「赤の女王仮説」は、生物にオスとメスがいる理由。有性生殖により、親とは異なる能力を持つ子孫が作られる。

・コバンザメ戦略。強者の邪魔をしない。強者の役にも立つ。

○「コバンザメ戦略」は、独立当初から今も意識し、実践していることの一つ。弱者なので。

●参考:『雑草という戦略』稲垣栄洋(2020)

https://www.learn-well.com/blog/2020/09/_200927_1.html
・生物の世界で言えば、コアコンピタンスこそが、戦略で最も重要。
・ナンバー1になれるオンリー1の場所=ニッチ
・「自分の得意なところで勝負する」
・植物の戦略の要素

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・Ruderal 攪乱適応戦略で重要なのは「スピード」と「次への投資」
・弱者は逆境を歓迎しなければならない。強者が力を出すことのできない逆境こそ、弱者が勝利するチャンスがある。
・草取りをすればするほど、雑草は増えていく。
・安定した環境よりも、攪乱の起こる不安定な環境のほうが、多くのチャンスがある。
・植物も基本は、ポジショニング戦略である。
・どちらが正しいか分からないのであれば、両方もっておくことが正しい。
・日本人は、古くから「雑草」を見つめ「雑草」に学んできた。
・力で勝負するのではなく、力を受け流す。これが雑草の基本戦略である。
・「大切なことを見失わない」これこそが、本当の雑草魂なのだ。

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『ランチェスター思考II』福田秀人(2010)

・「早く」と「正しく」の両立は難しい。
・「拙速:拙といえども、速をもってすれば勝つ」孟子

・信頼を得るには時間がかかるが、極限状態でのミスにより瞬時に失われる。
・リーダーの最大の役割は、例外対応(F.テイラー)

・ファヨールの管理原則
 1)権限移譲の原則
 2)責任絶対性の原則(部下の行動の結果責任を負う)

・「保留」「検討」「参考」の用語のいずれかが結論になり、実行されない場合がある。

・部下に忍耐力の限界を超す努力をさせることをためらうな。ただし、その後、必ず休ませよ。
・部下の目をのぞき込み、その声の調子にききいるにしくはなし。

・自分の得意分野に関しては、論理的になることができる。

○確かにそうだよな~。だから、ある領域の専門家が、TVのコメンテーターとかになるときついんだろうな。

・「不確実性の程度が評価できない状況」になったことに気づかない場合が、特に危険である。

・奇襲されないよう、取引先や顧客のフォローなど、当然やるべきことをきちんとし、警戒を怠らないことの方が、はるかに大事である。

・ランチェスター戦略は、日本独自の「レーザービーム式マーケティング戦略」に拍車をかけた。

・作戦中のF2Fのコミュニケーションは、時間の節約だけでなく、統率の面からも、文書によるコミュニケーションより重要だ。
・F2Fコミュニケーションは、最も効果的な意思疎通の方法だ。

・ビジネスには軍事との共通点も多いが、異なる点も多く、特にビジネスは、軍事行動よりはるかに多くの要素に影響される。

・ヨーロッパの企業や政府は、先に相手にできるだけ持論を言わせ、その弱点を見出し、そこをついてくるのが得意。

○ランチェスター本として読むより、アメリカ陸軍の指揮官マニュアルからの学びと捉える方がよいかも。

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『2023年 日本はこうなる』三菱UFJリサーチ&コンサルティング(編)(2022)

○日本経営合理化協会さんの「月刊CD経営塾」で送ってきてくれた本。

・エネルギー危機の深層には、2つの構造問題がある:
 1)化石燃料が必要 2)エネルギー転換が短期的には不可能

・デフレとの戦いが終結した後は、新たな価値を創造し、その価値に見合った価格を設定するという新しい競争が始まる。

・22年6月 岸田首相の「新しい資本主義」における人への投資。3年間で4,000億円。

・日本では、今そこにある労働力、女性の力でさえ活かせていないという事実があり、海外投資家はそれをリスクと見ている。

・人的資本とは、投資(能力開発・環境整備など)によって価値を大きく増大させることができるもの。人的資源とは、人材そのもの(人材が提供する労働・役務そのもの)有限であり、消費されていくもの。

・人的資本開示の観点:1)独自性 2)比較可能性

・DX人材:
 0)データサイエンティストのような数理スキルを持った人材 というよりも、
 1)データを咀嚼してサービス改善に生かせる人材
 2)デジタル技術を使って、ビジネスモデルの改善策を考えられる人材 の育成こそが重要。

・2024年卒の大学生は、コロナ禍での入学(2020年)であった。

・ESG対応では「マテリアリティ(重要課題)」で選ぶ必要がある。

・23年10月1日から、インボイス制度(適格請求書保存方式)が開始される。

・売り切りモデル(リニアエコノミー)は時代遅れ。
 循環経済型(サーキュラーエコノミー)では、販売後における顧客接点の構築が鍵である。

・オープンバッジとは、知識・スキルに関するデジタル証明書。

・ウェルビーイング:身体的、精神的、社会的健康
・サウナの医学的効用:心疾患、認知症、うつ病
・ウェルビーイング・ツーリズム 観光の柱に。

・所有者不明土地対策。法制度の整備により、実効性が期待される。

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投稿者:関根雅泰

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