【木曜日23-06】茂木健一郎先生本他

木曜日

【木曜日23-06】茂木健一郎先生本他

●茂木先生のセミナー前に予習で読んだ本(教養書3冊、ビジネス書2冊)

===

『クオリアと人工意識』(2020)

・ゲーム的な発想が広く及んでいない社会の側に問題がある。

・人工知能の発展段階:
 1)オラクル型 2)ジーニー型 3)ソヴァリン型

・どのような行動が望ましいと考えらえるかという評価関数(evaluation function)さえはっきり決まれば、人工知能はそれを最適化できる。
・人工知能は、与えられた評価関数を最大化することしか考えない。ゆえにそのふるまいは狭く、暴走する。

・生命現象は、すべて時間という制約の中で起こる。

・意識(Consciousness)は現実に存在する。

・創造性は、常にチームワークの中にある。課題になるのは、チームの中の個性をいかに響き合わせるかということ。
・一人賢い人がいるよりも、一人安心する人がいたほうが、チームとしてのパフォーマンスは上がる。
・賢いかどうかより、よい人かどうかのほうが、多くの人にとって大切。

・アハ体験における「一発学習」。(石川・戸嶋・茂木2019)

・自分がどのような評価関数で行動しているのか、何を優先しているのかが明らかになってしまうことに、人間は耐えられない。

・自己意識のセントラドグマは、正しいのか?
 私という意識は、たった1回だけ生まれて、そしてやがて死んで消えていく。一度死んでしまったら、私はもう二度とこの宇宙に戻ってこない。

・ベルクソンの「純粋記憶」は、ラッセルの「5分前仮説」を否定する力がある可能性があるのではないか。

・人工知能研究コミュニティの強気で大胆な姿勢や論調に欠けているのは「身体性」である。いかに物質に接地させるかという方法論。

・実は、この宇宙には意識は一つしかないのだ。

===

『最高の結果を引き出す質問力』(2016)

・頭がいい人ほど質問する。「これが分からない」と言えてしまう。
・いい質問は、自分だけでなく、周りの人をも変化させる力を持つ。

・いい質問は、自分の感情を常にメタ認知していないとできない。
・感情力、メタ認知力、論理力。これがいい質問を生む「3つのステップ」

・「欠点は長所と一体となっている」というのが、脳科学の常識。

・自分とは違う存在がいること。
・どっしりと中心を外さない安定した人間。

・自由に世界を探索するためには「これがあれば自分は大丈夫」という安全基地が必要。

・いい質問をするためのキーワード。時間、目的、手段。

・気になる言葉、拒否したくなる言葉。判断を停止してずっと覚えておく努力。

・本当に人生に困ったときは、芸術に触れる。

===

===

『こころと脳の対話』茂木健一郎・河合隼雄(2008)

・全体をアプリシエイト(味わう)することが大事であって、インタープリット(解釈)する必要はない。

・寝たときに調整。夢を見るということ自体がすごい大事。生きていくために必要。
・脳科学ではいま、夢というのは「記憶の整理」だと考えている。

・日本のモデルは「中空均衡」 欧米は「中心統合」
・矛盾を抱えながらいかに生きるか。

・人間はぎりぎりのところになるとみんな同じ。

・逃げずにまっすぐ聞く。
・自分で考えると、絶対堂々めぐりする。ところが生きている人間が正面から聞くと、堂々めぐりが止まる。
・「中心をはずさずに」そこにいる。それができれば、その人は治る。
・そおっと聞いてないとダメ。

・近代科学は「分ける」ことから始まっている。

○積読になってた河合先生の『昔話の深層』を読んでみよう!

===

『昔話の深層 ユング心理学とグリム童話』 河合隼雄(1977,1994)

・無意識の世界へと降りてゆく手段として、昔話に頼る。
・昔話の内容と現代人の心性とが強く結びついている。

・スイスの分析心理学者 ユングは、世界中の昔話や神話に共通する典型的なイメージが存在することを重視。
・元型 Archetypeの存在を仮定した。

・昔話を、人間の内的な成熟過程のある段階を描き出したものとして見てゆく。
・鳥は、魂、精神などを表す。

・自我の確立の過程に不可欠な「母親殺し」の主題は、西洋に特徴的なものである。
・個人の成長は、常に死と再生の繰り返し。

・四が完全統一を示すことが多く、三はそれに到る前の力動的な状態を反映していると、ユングは主張。
・ユングは、人間にとって最初の数は、一ではなくて、むしろ二ではないかと述べている。
・十二という数は、完全数としての意味が多い。

・悪によって、一つの存在が完結する。
・すべての人は、それ自身の「影」をもっている。
・人間の無意識内に、繰り返しを強いる傾向がある。フロイトは、反復強迫と名付けた。

・親の影の問題を、子供が背負わされている例は多い。

・禁止ほど、好奇心を引き起こすものはない。
・多くの男性は、女性によって、創造的な活動への刺戟を与えられている。
・「怠け」が「創造」をはぐくむ

・ほかの世界へ往くにしろ、還るにしろ、そこに何らかの通過儀礼を必要とする。
・現在の日本の若者たち(1970年代当時)が、必要なイニシエーションの試練を受けていないために、多くの問題を生ぜしめている。

・他人の行為を真に信頼することは、その行為を自らなしたと同様の心的エネルギーを必要とするものだ。

・母なるものが一体化するはたらきを持つのに対して、父なるものは、物事を分割し、分離し、切断する機能を持つ。

・欠点、弱点がプラスに働く。自分の欠点が、まったく思いがけない方法で役立つ。
・体制の改変を行いうるものは、その体制の目から見る限り愚か者に見える。

・大きい仕事を成し遂げた後で、人は謙虚さを知らねばならない。
・無意識の世界に旅したものは、この世に帰る前に「思い上がり」の気持ちを棄てなければならない。

・ユングは、アニマは男性にムードをかもし出させ、アニムスは女性に意見を主張させると述べている。
・対立物の合一という仕事は、一筋縄では成就されがたい。

・二者択一の問題、両者の葛藤の中に身をおいて正面から取り組んでゆくと、その人なりの第三の道がひらけてくるもの。
・ユングは、自己実現の道を「個性化 individualization」の過程としてとらえている。

===

『両利きの組織をつくる』 加藤・オライリー・シェーデ(2020)

○読書会議『再興』のシェーデさんも共著者の本。

・成熟企業にとって最大の壁は、自社の「組織カルチャー」。具体的な「仕事のやり方」である。
・組織カルチャー(仕事の作法)こそが、最も真似されにくい競争力の源泉となる。

・両利きの経営とは、既存事業の深堀(Exploit)と、新しい事業機会の探索(Explore)を両立させる経営のこと。
・両利きの経営とは、相矛盾する能力を同時に追求することのできる組織能力の獲得を目指すもの。
・矛盾の中にこそ、独自性が生まれる。

・AGCの経営陣が、独自の試行錯誤してたどり着いた経営スタイルが、結果的に両利きの経営と呼ばれる経営理論に合致していた。
・2014年10月31日、島村琢哉氏は、旭硝子の次期CEOに任命された。前任は石村和彦氏(現会長)。

・「人の心に灯をともすリーダー」 人を勇気づけ励ます支援型のリーダー。

・旭硝子は、三菱財閥二代目当主の次男 岩崎俊彌(当時26歳)が、1907年に創立。
・AGCは、他社のイノベーションを加速する。

・経営者が意図的な支援と保護をしない限り、探索事業は既存事業の組織カルチャーに殺されてしまう。
・「出島方式」で分離するだけではかえって孤立する。分離するだけでなく、統合(融合)も必要。

・経営者の最大の役割は、意志表示と価値判断。

・組織開発の定義「組織をWorkさせるための意図的な働きかけ」は、実践者同士の間でのみ通じる内輪の表現に過ぎないのではないだろうか。
・経営者に働きかけるなら、別の表現をしなければならない。
・組織開発の話は、経営者の防御反応を引き起こしやすい。

・どんな組織にも、必ず解決に結びつく独自の種(素材)がある。

・どんな組織能力が必要なのか?
 1)新しく何を始める必要があるのか? 2)そのために、何をあきらめる必要があるのか? 3)一方で、何は継続(強化)するのか?
・組織能力とは、「人のつながり方」のことである。

・個人の変容は、組織全体の変容につながるのか?

○経営者の変容は、組織全体の変容につながる。
 従業員の変容は、組織の変容にはつながらず、組織からの離脱を促すのでは。

 だからこそ、経営者に対しては、個人変容を促すような働きかけが必要で、
 従業員に対しては、彼らを取り巻く環境(組織)の変化促進が先で、その後、従業員個人の変容が促されるのでは。

===

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る