○鑪(たたら)先生の本(研究書2冊)
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『アイデンティティの心理学』 鑪幹八郎(1990)
・ルーツ探しは、アイデンティティの根。
・エリクソン「幼児期と社会」第7章に示された「エピジェネシス 個体発達分化の図式」は、人間生涯全体を視野にいれた「ライフサイクル」のイメージであった。
○この図は、ほんと凄い!
・Gererativityは、エリクソンの造語。「生殖性、生産性」と訳されているが、私は「世代性」といっておきたい。
・森有正曰く「パリは、人の感覚を目覚めさせる場所」
・日本語には、三人称的な言い方が本質的に欠けている。(敬語の存在)
・「予定アイデンティティ」から新しい「選択するアイデンティティ」への質的な変化の中で、アイデンティティ形成の混乱が起こるのである。
・ライフスタイルを背後から支えているのが、アイデンティティなのである。
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『アイデンティティとライフサイクル論』 鑪(2002)
・エリクソンの初の単著が「幼児期と社会」(1950)である。いろいろの領域に知的な衝撃を与えた。
・ライフサイクル論が、フロイトのリビドー論を、完全に換骨奪胎している。
・私はこれまでエリクソンを英雄として理想化して扱っていたのでは。
第1章 エリクソンの人となり
・創造的な人は、境界線上の人でもある。
・エリクソンは、フロイトの正統な後継者となる。
・アドラー、ユング、シュテーケルなど豊かな才能をもつ多くのフロイトの弟子たちは、それぞれが自分の学派を作り、フロイトと対立した。
・エリクソンは、フロイトに対して拒否的な姿勢を決して示さない。
・文化人類学者メキールのすすめで、エリクソンは、アメリカインディアン(スー族とユーロク族)の養育態度の研究を行う。
・これらを通して、エリクソンは「結局、人間はみな同じだ」という実感を得ていく。
・一般にライフサイクルは、生物学の用語として使用されている。
・相互性の概念。
・「働きかけると共に働きかけられる」存在
・アイデンティティの2つの次元
1)斉一性の感覚(Self-sameness)自分は他者と違って自分である
2)一貫性の感覚(Continuity)自己はこれまでいかにして自分となってきたのか
・(エリクソンが取り上げた)ルターは、カトリシズムの境界をはみ出した人であり、プロテスタンティズムの始源であった。
・エリクソンは、「精神分析的文筆家 ライティングアナリスト」として、56歳になってはじめて、自我の統合の土台としてのしっかりしたアイデンティティを確立することのできた人間になったといえるのでは。
・アドラーが、1911年に、ユングが、1913年に、フロイトから離反した。
・ユダヤ人フロイトの問い「なぜユダヤ人であることで、こんなことになるのか」
・エリクソンは、歴史上の人物を現実の自分の生活にひきつけ、その人と対決するのである。
・ガンジーこそ、心理社会的危機に出会っている成人期を代表する人物の一人ではないか。
・成人の心理社会的危機:世代性対自己陶酔
・世代性:他者や生んだものの世話をすることで、他者から求められるという相互性
・自己陶酔:他者に働きかけることを拒否し、利用し、自分から外への関心を示さず、閉じこもっていく
・この生き方のどちらかを選択させられる
・老人期の心理社会的危機:知恵対絶望
・生きる姿が、人々に人生最後の姿を見せることに示される。
第2章 発達論とライフサイクル論
・危機 Crisisは、元来、病状経過の岐かれ目を意味する。
・人生には大きく言って8つの危機がある。
・危機は、発達のための決定的な契機として、むしろなくてはならないもの。
・避けることのできない死を受け入れることは、これまでの自分の人生を受け入れることである。
・そして、自分が残していくものを引き継ぐ次の世代を信頼するということであるう。
・個人の信頼と世代への関心が「心的現実」として、円環的に世代間で引き継がれていくということを意味している。
・知恵とは(中略)統合された経験を維持し、他者に伝える努力である。
・私達自身は、無力になればなるほど、組織に頼ろうとする。
・技を学ぶには、2つのことが培わなければならない。
1)持続すること(時間に耐えること)
2)集中すること
・この二つは、技を学ぶための精神的な土台である。
・教える側としての私達に、私達自身の世界像維持のために普段の努力と生活があるとき、ちょうどすぐれた芸術家が弟子に技を学ぶことを厳しく要求し、精神的土台としての集中と持続を要求するように、要求することが許されるであろう。
○これ、耳が痛いな~。自分がやってないのに、人にやれとは言えない。
・心理臨床的な発生には、三世代(祖父母、親、子)を要する
・DINKS夫婦が高齢期にさしかかった時、次の世代との拡大家族を持たないことは、激しい心理的孤独感に襲われる危険性をはらんでいる。
・自己のライフサイクルの中で、この世代の継承や循環の大きな環の中で生きているのである。
○これ見ると、ほんと残り少ないと感じる。
・異性との出会いを可能にするのは、心理学的に言って、まず自己の自我境界が明確に作り上げられていることを前提とするだろう。
第3章 アイデンティティ論
・人々は、土地に縛られて生きてきた。
・教育によって、社会階層の上層への移動が可能となった。
・中世では、子供期から直接に成人になり、成人から死へと直結していた。
・大学の在学は、ものに対する態度を決定しないで保留しおく猶予期間(モラトリアム)である。
・岡本は、アイデンティティの発達を「螺旋的な発達」ととらえた。
・「危機ー再体制化-再生」のプロセス
・映画「野いちご」(1957)
・老年期の統合のプロセス
・老年期における「自我の統合 Integrity」対「絶望 Despair」
・老年期の人格的な強さとしての「知恵 Wisdom」
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