○エリクソン本(研究書2冊)
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『幼児期と社会1』E.H.エリクソン(1950、1977)
・個人に一貫性のある個性化Individualizationの意識と、社会への位置づけとしての同一性Identityの意識を保証する。
・自分は本当に自分であるという意識。
・同一性の感覚が、自己を一貫して同じ自分であるという連続性Continuityと斉一性Samenessのある存在として経験し、またそのように行動する能力を準備する。
・家庭の問題の治療を引き受けるか否かを決定する前に、まずその家を訪問して、家族と一緒に食事をするのが、私の習慣である。
・家族は赤ん坊によって育てられながら、赤ん坊を育てている。
・口唇の諸段階は、乳児に基本的信頼感と基本的不信感の源泉を形成し、それらが一生を通じて、基本的な希望と悲運を自己内部から発生させる原因となって存在し続けるのである。
・精神分析学のユートピアは、「性器性欲」である。
・神経症患者を詳細に調査してみると、彼らは皆その性的周期に欠陥があるというのが事実である。
・「高い」および「低い」が、男性の変数であるとすれば、「開いた」および「閉じた」状態が、女性に特有の様態である。
・男性では、性器は外部的器官で、勃起性があり、侵入的である特性を持ち、非常に動的な精子細胞をコントロールする。
・女性の場合は、それは内的器官で、静的に待機している卵子に通じる前庭的入口を持つ。
・スー族のオグラ支族で、ダコタ族とも呼ばれている8000人のインディアンが、パイン・リッジ・インディアン特別保留地に住んでいる。
・己の胸を苦行の特別の焦点に選ぶのである。
参考:スー族のサンダンス
・境界が明確に限定されたユーロク族の世界
参考:ユーロク族
(カリフォルニアの湾岸。上の写真左側が、ユーロク族が作ったスプーン)
・フロイトは、夢の研究が大人の無意識への王道であるといった。
・子供の自我を理解するための最善の手がかりは、子供の遊びの研究である。
・(分裂病的なものの考え方を理解し、付き合っていくためには)感情移入という特別な才能を必要とするが、同時に心を動揺させないで、自分自身を完全に保つ能力をも要求する。
・遊びは、幼児の自我の統合しようとする努力を理解する王道である。
・遊びとは何か。何が遊びではないのか。
・「反復強迫」とは、人は苦しい経験をすると、それを言葉や行為で再び演じないではいられないという要求をさす。
・手に余る事態を、幾度も繰り返すことによって、また自発的に経験することによって、克服しようとしている。
・大人も心に傷を受けたとき、「それを徹底的にしゃべりまくって」精神的緊張を解消させる傾向がある。
・遊びの時間というものが、その子供にとって決して言葉では伝えることのできないことを、我々に知らせる働きをする。
・フロイトはあるとき、正常な人間にできなくてはならないことは何であろうか、と問われたことがある。
フロイトはそっけない口調で「Lieben und arbeiten 愛することと働くこと」と答えたと伝えられている。
・Generativity生殖性は、次の世代を確立させ導くことへの関心である。
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『幼児期と社会2』
・近年アメリカにおける精神医学関係の研究者の観察や警告は、次の2つの概念にますます集中する傾向がある。「分裂病質的パーソナリティ」と「母親の拒否」である。
・ほんとうに「かあさんMOM」に責任があるのだろうか。
・アメリカの同一性を特徴づけるものは極端な「両極性」であるが、「辺境」はこの両極性を確立する上で決定的な影響を与え続けた。
・最初の両極性は「定住」および「移住」の二つの極を培養することであった。
・アメリカの母親たちが、祖父の役割を受け継いだのである。
・精神分析を受ける患者には、祖父の存在が圧倒的に重要な位置を占めていることが明らかな場合が多い。
・この国の巨大さと厳しさ。
・父子主義の座を奪った二つの傾向:母親中心主義とボス制度
・ヒトラーは、途方もなくスケールの大きな冒険家であった。彼は狂気と紙一重のきわどい性格を持っていた。彼は、自分のヒステリー症を悪用することも知っていた。
・ヒトラーのユダヤ人に対する恐怖を、精神医学の立場から診断すると、少なくとも梅毒恐怖症である。
・3人のドイツ系ユダヤ人による学説:
1)マルクスの歴史決定論 2)フロイトの無意識についての理論 3)アインシュタインの相対性理論
・M.ゴーリキーは、レーニンの親友であった。
・目を、攻撃や防御の武器として用いることには、どこかロシア的なところがある。
・ロシア文学ほと、血管運動神経の過多にみちみちた文学は他にない。
・フロイトは、不安を治療する唯一の方法は、その不安を医師対患者の関係に転移させるように導くことだと決意した。
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