○毎月第3金曜日に、仲間と実施している読書会議で、Kさんにお薦め頂いた本。良著です。(教養本1冊、新書1冊)
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『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』 帚木蓬生(2017)
・Negative capability(負の能力もしくは陰性能力)とは「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」
・「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」
・踏ん張る力がつく。それほどこの能力は、底力を持っている。
・この本を読む前と後では、あなた自身がきっと変わっているのを実感するはず。
○ここまで言い切れるのは凄いよな~。そして、実際に、そうなったと思う。
・言葉の不到達性、言葉では、世界も人間の内面もすくいきれない。
・お互いに「頂点」をもった人間と人間が言葉を交わすのが、精神分析。
・目の前の患者との生身の対話をおろそかにしがち。
・私達の脳は、ともかくなんでも分かろうとする。
・分かりたがる脳は、音楽と絵画に戸惑う。
・分からなくていい。味わうだけ。
・問題解決能力は、ポジティブケイパビリティ。
・正常なものは、放置しておけば済む。
・持ちこたえていく力。
・目薬:ちゃんと見守っている眼があると、耐えられる。
・耐える時、これこそがNCだと自分に言い聞かせる。すると耐える力が増す。
・治療ではなく、トリートメントしてあげればいい。
・脳は生来的に、物事をポジティブに考えるようにできている。
・日薬:時間的な基盤が保証されなければ、快方に向かわない。時間稼ぎも必要。
・何もできそうもない所でも、何かをしていれば何とかなる。何もしなくても、持ちこたえていけば、何とかなる。
・薄暮のようなグレーゾーンを持ちこたえている内に、東の空が明るくなることに気づく。
・NCが最も自戒するのは、性急な結論付け。
○これを、俺はやってるかもな~。すぐに、PCを発揮しようとする。NCで受け止めるだけでいいのかも。
・NCを持っていたシェイクスピアと紫式部。
・教える側が、問題を狭く設定。その方が「解答」を手早く教えられる。
・世の中には、そう簡単に解決できない問題が満ち満ちているという事実が伝達されていない。
・教育者のほうが、教育の先に広がっている無限の可能性を忘れ去っているので、教育される側は、閉塞感ばかりを感じ取ってしまいがち。
○これ、ほんとそうだよな~。だから、学校の勉強が、その先につながると感じられない。
・「すぐには解決できなくても、なんとか持ちこたえていける。それは、実は能力の一つなんだよ」ということを、子供にも教えてやる必要があるのでは。
・静かな道筋こそ、寛容の本質。
○呻吟語の「深沈厚重」「安重深沈」にも通ずる。
・指導者は、踏みとどまって、一考も再考も三考もすべきだった。
・親切(Kindness)こそが、共感(Empathy)への入り口。
○目が熱くなってくる。素晴らしい本と出会えた。この本ですくわれる人も多いだろう。
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『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』 レジ―(2022)
・「お金を稼ぐため」のツールとして、教養を使う。
・古き良き教養。学びたいからこそ学ぶ。
・ベーシックな倫理観が醸成されていない状態で、金儲けの思想を注入すると、稼げれば何でもありというアウトプットが生まれる。
・すぐ役に立つ人間は、すぐ役に立たなくなる人間。
・内省よりも、行動が重視されがちなビジネスの世界。
・シンプルに考える、複雑に考えないという堀江の価値観は、「味わう」ことに主眼が置かれるカルチャーとの食い合わせが非常に悪い。
・責任概念なき個人主義
・本田圭佑は、自己責任による社会の在り方を浸透させるシンボルとして適任。
・成長することそのものが絶対正義。そもぞもなぜ成長したいのかをもっと考える。
・表層的なハウツーに止まらない深い洞察に基づいたメソッドが詰まっているビジネス書はある。
・ファスト教養の論者たちが、本来の土俵で培ってきた実績から学ぶ。
・トレンドを追わない。
・繰り返して読む本を持つ。
・ファスト教養と密接に結びつく自己責任の発想は、自分の成功をすべて自分の手柄に還元する考え方も内包している。
・何もかも自分でコントロールできるという思い上がり。
・謙虚さ、偶然に心を開く。これこそ、ファスト教養と決別するために求められる視点。
・「お金儲けの役に立たない情報は無駄」というスタンスからひたすらに距離をとる。
○耳が痛い箇所も多い。自分も常に「役に立つか」という観点で情報に接している部分はあるな~。今すぐ役に立たないと思われる情報(古き良き教養)も、結局、長期的には、仕事の役に立っていることが多い。それを前面に出して「いつか役に立つから」と、古き良き教養を無理やり入れ込もうとするのが、ファスト教養ということなのかも。単に、好きで、面白くて、学びたいから、古き良き教養に接していたら、いつか自然と仕事の役にも立っていたっていう感じなのかな。
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