【木曜日24-32】渋沢栄一本

木曜日

【木曜日24-32】渋沢栄一本

○Kazuma企画の読書会議での課題本(5冊)

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『現代語訳 論語と算盤』渋沢栄一・守屋淳(訳)(2010)

・渋沢栄一は、「資本主義」や「実業」が内包していた問題点を見抜き、その中和剤を、システムの中に織り込もうとした。
・暴走に歯止めをかける枠組みが必要だと。

・『論語と算盤』は、講演の口述をまとめたもの。
・梶山彬が、90項目を選んで、テーマ別に編集したもの。

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・論語とソロバンというかけ離れたものを一致させる事。

・士魂商才
・論語は、士魂養成の根底になり、商才も養える。

・わたしは「論語」の教訓に従って商売し、経済活動をしていくことができると思いいたった。

・敵と争って必ず勝って見せる気概がなくては、決して成長も進歩もない。

・およそ人間が世間との付き合い方を誤るのは、だいたいにおいて、様々な感情が暴発してしまうからなのだ。
○ほんとそうだよな~。

・私は極楽も地獄も気にかけない。ただ現在において正しいことを行ったならば、人として立派なのだと信じている。

・一生涯を通じて「大きな志」からはみ出さない範囲の中で工夫する。
○これ大事。

・「情」にも欠点があって、それは瞬間的にわきあがりやすいため、悪くすると流されてしまう。
・動きやすい感情をコントロールするものは、強い意志よりほかにはない。

・人は良い習慣を身につけなければならない。つまり勤勉や努力の習慣が必要なのだ。

・「まっとうない生き方によって得られるならば、どんな賤しい仕事についても金儲けをせよ。しかし、まっとうではない手段をとるくらいなら、むしろ貧賤でいなさい。」

・「大学」という古典の中で「財産をつくるための正しい道」が述べられている。
○「徳あればこれ人あり。人あればこれ土あり。土あればこれ財あり。財あればこれ用あり。」「徳は本なり、財は末なり。」「財を生ずるに、大道あり。~」のあたりかな。

・お金を大切にするのはもちろん正しいことだが、必要な場合にうまく使っていくのも、それに劣らず良いことなのだ。
・よく集めて、よく使い、社会を活発にして、経済活動の成長を促すことを、心ある人はぜひとも心掛けてほしい。

・金遣いの荒い人間にならないよう努力するのと同時に、守銭奴にならないよう注意すべき。

・道徳は「王者の道」という意味が語源。

・自分の行いが、お天道さまに恥じないか否かをいつも考えている。

・決して極端に走らず、中庸を失わず、常に穏やかな志をもって進んでいく。
・精神面の鍛錬に力を入れつつ、知識や見識を磨き上げていく。

・「論語」の教えは、自分を律するのが主眼。
・門人との問答を集めたものが、やがて「論語」二十篇になった。

・世の中の人がみな、社会から金持ちを追い出そうとしたら、どうやって国の豊かさや力強さをもたらせばよいのだろう。

・「競争」とは、勉強や進歩の母。
・よい競争と、悪い競争。
○A.スミスの考えた2つの競争

・競争を、自己の内面を深める契機として捉えようとするのが、Competition。収穫逓減が前提。
・競争を、自己を強化する手段として捉えようとするのが、Emulation。収穫逓増。独占を許す競争。

・商売には、絶えざる自己開発が必要。

・かりに、一個人だけが大富豪になっても、社会の多数がそのために貧困に陥るような事業であったなら、どうだろうか。
○まさに、今のグローバル資本主義がそれを許しているよな~。

・子供が孝行するのではなく、親が子に孝行させるのである。

・青年は、よい師匠に接して、自分を磨いていかなければならない。

・実業界でやっていこうという者は、もろもろの性質を備えたうえで、もう一つ尊重しなければならない重点が残っている。それは、自由‐自分を頼りにするということだ。
○これほんと大事だよな~。他者に依存しない。自分で立つ。

・まず、誠実に努力すること。

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・岩崎弥太郎との会合時)栄一は、合本法(株式組織)の道義的運営によって、富は分散さるべきものだ。独占すべきものではないと主張する。
・栄一は、財閥を作らなかった。

・栄一は、最初の妻千代を43歳の時になくすと、後妻として兼子と結婚し四男三女をもうけている。
・お妾さんも数多くもち、その子供は30人以上はいたらしい。
・普段やかましく道徳を口にしているわりには、女性関係にだらしがない。

・栄一は、長男 篤二を廃嫡し、孫の敬三を当主としている。

・享年92歳。墓地は東京上野にある谷中霊園、主君であった慶喜にほど近い所に、そのお墓は置かれている。

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『道徳と経済』渋沢栄一(2020)

・真に理財に長ずる人は、よく集めて、よく散ずる様でなくてはならぬ。

・働いていく道は、大別して二様ある
 1)雇われる 他動的
 2)独立事業 自働的
・向きに相当しているものを

・智育に偏して、徳育のほうがあまり顧みられぬ
・資本よりも、信用の大切であることを

・世のため人のために尽くそうとするには、先ず己を修め己を維持することが必要。
・自分が他の援助を受けるようでは、本末を顚倒する。

・克己心を養うには、まず日常の些事に心掛ける。

・衣食足りて礼節を知る如く、富んで仁なる者の多いのは、事実である。
・中庸を解釈するために極く手短に「ぶるな」「らしく」と。

・富豪のできるため、一方に貧乏人ができるということを深く考えなければならぬ。
・富豪はできるだけ、無産者を向上させていくということに努めなければならぬ。

・「合本主義」とは株式会社と同一ではなく「公益を追求するという使命や目的を達成するために最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方」

・事業計画に必要な条件:
 1)世の中に必要であるか?公益的な性質のものであるか?
 2)時代に適応しているかどうか?
 3)資本が確実に得られる成算があるかどうか?
 4)首脳となりて全責任を負い、十分信頼に足る人物があるかどうか?

・会社設立後の経営:
 1)切り抜けるための勉強
 2)絶大なる忍耐力

・一人一業主義で進むようにしなければならない。

・健全なる精神は、強壮なる体力に宿る
・体力の頑健なるものは、大事を為し

・精神上より常に期していること:
 1)ものごとにくったくせぬこと
 2)気を転ずること

・60歳以降、心を平和に保つことが肝要
・90歳までは働ける。

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『渋沢栄一自伝 雨夜譚・青淵回顧録(抄)』 渋沢栄一(2020)

・読書に働きをつけるには、読みやすいものから入るのが一番よい。

・(父から)もはや種類の違う人間だから、相談相手にはならぬ。

・元来商売というものは、一人一己の力ではこれを盛んにすることは出来ぬものだから、そこは西洋に行われる共力合本法(株式会社制度)を採用するのが最も必要の急務。

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・官尊民卑の風がはなはだしく。

・商工業者の品位を高めることが必要。
・自ら率先して「論語」の教訓を服膺し、自ら範を示すと同時に民間実業家の品位を高めようと考えたのである。

・論語の教えに従って、商工業に従事し、知行合一主義を実行する決心であることを断言したような次第であった。

・択善会 「論語」の「択んで善に居らずんば安んぞ知るを得ん」から。

・農工商等に従事する者の教育というものは、殆ど皆無であった。

・一般商工業者は、単に金さえ儲ければよいという域を出でない。

・明治八年に、森有礼氏が、商法講習所を創立。これがのちの東京商科大学に。

・絶対に投機には手を染めぬ。

・弱音を吐いておっては、会社が潰れるばかり。

・私は学問というものはその人の生命と共にいつまでも存続すべきものであるという解釈を下している。

・道理正しい経済を進めることが必要である。

・60歳以降は、摂制に注意し、心の平静を保ち、かつ適当な労働に従事することが必要であって、早くも自ら老いたと思うことがよろしくない。
・自ら老いたと思ってはたちまちにして、老いこむようになる。

・天命に安んじ、努めて平静を維持するならば、90歳ごろまでは必ず活動できる。

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『渋沢栄一伝』 幸田露伴(2020)

・人は誰でも時代の人である。
・(栄一は)むしろ時代の児として生まれたと云ったほうが良いかもと思われる。

・教育というものは、知識を授けるのみではない、人の心の発達開展を正しく美しい方へ傾向づけること。

・天賦の豊かなものは、自ら教うるもの。
・栄一は、新五郎から、能く自ら教うる習慣を受け取った。

・平岡円四郎は、大きい人物で、心霊の上にもこの人の開発を被ったことは決して少なくは無かったろうと思われる。

・資金無くして、事に臨んだ無理より生じた恐るべき弊害。
・人生の事は、経済の裏付けがなくてはならぬ。

・軽率な行動をとる者は、多くは「造物の脚本」を受け取る前に、自分の料簡で動き出して悔いを取ることの多いものである。

・資本を合わせ、能力を共にするところの商社の法を用いるのが、商業を確実にして盛大ならしむる良法。

・上に立つ智者は、智は人の智を用いるより智なるは無し。

・商業が本来一人一己の私利を図るべきものでは無く、天下の公益を図るべき性質のものである。

・予まさに論語を以て商業界に尽くさんとす。

・退官の時を界として、始めて渋沢栄一は、自己の真生涯に入ったのだと云ってもよく。

・西郷隆盛が、二宮尊徳の興国安民法を存続するよう(栄一に話にきた)

・人が銀行を造ったにも相違ないが、時勢が人を働かせたにも相違ない。時勢の善良なる児、聡敏なる児が、何の時にも偉大なる美果を収めるのであった。

・人の為に謀って忠ならんとするのは、曽子の美徳であったが、栄一は実にその一生を能く忠なり得た人であった。

・栄一以前の世界は、封建の世界であった。人間の精神もまた封建的であった。

・容易に順調に行かなかったので、そこを凌ぎ徹する所にこそ、真実の人の力というものはある。

・商業者などは、四民(士農工商)の最末席者とされていた。
・栄一は、英国商業学士シャンドというもの等によって、商業に従事せんとする者を教育させた。

・(安売り競争に応じずに)平正なる規定を改めずに戦ったのは、いかにも論語と算盤を一にし、商業と道徳を離れさせぬことを信念としていた栄一の立派な態度であった。

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・露伴は、時代の中で渋沢を理解しようとしていた。
・徹底的に神話化を回避しようとしていた。

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『父 渋沢栄一』 渋沢秀雄(2020)

・(論語の素読)子供の頭に有難い良薬を無理に詰め込んでおけば、後日彼らが成長して生活体験の増えた場合、その良薬が溶けて利いてくるに違いないと思ったらしい。

・いつも適度のハーフトーン(黒か白かの中間のハーフトーン)を見出していく素質。

・未開の国ほど、自任裁判長が多い。
○マスク警察とかもそうだよな~。

・すべて国が滅びるのは、敵国のためではなく、自国の思い上がりにある。

・文明の宝石
 1)株式会社組織 2)官尊民卑のふうがない 3)国王の国家的商魂

・何か事を起こせば、どこかにけなす人の現れるのが世の常。
・意地悪な親類のほうが、人間的に磨いてくれた恩人だということになる。

・官吏は凡庸の者でも勤まるが、商工業者は相当才腕ある者でなくては勤まらない。

・「合本法」 大衆の資金を集めてうまく運営し、利益を衆に帰さなければならない。
・才能ある人物に経営を委託するのは当然だが、その経営者がいつまでも事業や利益を独占するのは間違っている。

・社会組織の整った現在では、一人一業が本当。

・親分にならなかった人。

・人は自己のためにのみ生くべきものではない。

・父は自分のたしなみとして行うだけで、息子達にも教訓がましく説教したことはない。
・いつもおっとりしていた。
○こうあれたらいいな~。

・父は、新興日本の「台所道具」の整備に一生を捧げてきた人。

・昭和6年はプロレタリア運動が盛んになり始めた時代。
・「アララギ」の中に、渋沢栄一翁の逝去を悼むという前書き付きの一首を発見。
 「資本主義を罪悪視する我なれど 君が一代は尊くおもほゆ」

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紙幣の肖像の選定理由を教えてください(財務省)
https://www.mof.go.jp/faq/currency/07ap.htm

紙幣の顔はどう決まる?(池上彰)
https://www.smtb.jp/personal/useful/market-column/ikegami-column/column_07

渋沢栄一は何をした人?銀行との関係・お札に選ばれた理由を解説(七十七銀行)
https://www.77bank.co.jp/financial-column/article51.html

渋沢栄一が新一万円札の顔にふさわしい理由 LGBTの学生を採用面接して悟った彼の凄さ(桃野泰徳)
https://globe.asahi.com/article/14472018

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渋沢栄一アンドロイド(渋沢栄一記念館講義室)
https://www.city.fukaya.saitama.jp/shibusawa_eiichi/1592454024442.html

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投稿者:関根雅泰

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