【木曜日24-31】マルクス・エンゲルス本(2)

木曜日

○『資本論』に挑む前に(1冊+DVD1本)

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『賃労働と資本/賃金・価格・利潤』 マルクス(著)森田成也(訳)(2014)

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『賃労働と資本』

○「新ライン新聞」1849年4月~ マルクスが書いた記事

・我々は、労働者に理解してもらいたい。

・賃金とは、ブルジョアが一定の労働時間ないし一定量の労働提供に対して支払う貨幣額。

・賃金は、労働者によって生産される諸商品に対する労働者の分け前ではない。
・彼が、自分自身のために生産するものは賃金である。

・労働の生産費は、労働者の生存費と繁殖費に帰着する。

・資本もまた一個の社会的生産関係である。それはブルジョア的生産関係であり、ブルジョア社会の生産関係である。

・労働能力の他には何も持たない一階級の存在が資本の必然的な一前提である。

・(お金は)二重の仕方で消費されたのである。資本にとっては、再生産的に。労働者にとっては、不生産的に。

・賃労働者が賃労働者であり続ける限り、彼の運命は資本に依存している。

・ブルジョアジーは、その存在条件ゆえに、計算高くならないわけにはいかないのだ。

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・機械と分業は、より高い労働を、より安い労働に置き換える。

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●エンゲルスによる序論(1891年)

・古典派経済学は、産業上の実践から、労働者の労働を買って、それに「賃金」を支払っているのだとう工場主たちのありふれた観念を引き継いだ。

・労働者が資本家に売っていたのは、彼の労働ではなかった。
・彼が、賃貸ないし販売しているのは、自分の「労働力」である。

・ついには、今日の資本主義経済を没落させるに相違ない一つの衝突を生み出す。一方では、買い手には処理できないほどの巨万の富と生産物の過剰とが作り出され、他方では、社会の大部分がプロレタリア化し、賃労働者に転化し、まさにそのことによってこの過剰な生産物を取得することができなくなっている。
・社会は、途方もなく豊かな少数の者と多数の何も持たない労働者階級とに分裂。

○まさに、今の状況だよな~。

・新しい社会秩序は可能だ。

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『賃金・価格・利潤』

・賃金額は不変量であるなどとは言ってはならない。

・資本家の意志は間違いなく、できるだけ多くの利潤を得ることである。

・1848年に導入された10時間労働法。

・商品が価値を有しているのは、それが社会的労働の結晶化だからである。

・商品の価値は、その生産に充用される労働時間に正比例し、充用される労働の生産力に反比例する。

・労働者が売るものは、直接的には彼の労働ではなく、彼の労働力(Laboring Power)であり、彼はその一時的な処分権を資本家に譲り渡すのである。

・賃金の平等という要求(プルードンの主張)は誤謬にもとづいているのであり、決して実現しえない馬鹿げた望みなのである。

・必要な6時間を越えて、更にもう6時間働く。この部分を「剰余労働時間」と呼ぼう。

・私が利潤と呼ぶのは、剰余価値、すなわち商品の総価値の剰余労働ないし不払労働が実現されている部分のことである。

・地代、利子、産業利潤は、商品の剰余価値ないしそこに実現されている不払労働の様々な諸部分に与えられた異なった名称に過ぎないのであり、いずれもこの源泉から、そしてこの源泉のみから派生している。

・賃金の最低限を定めることはできても、その最大限を定めることはできない。

・近代産業の発展そのものが、資本家に有利で労働者に不利な方向へとますます事態を変化させるに違いない。

・「賃金制度の廃止!」という革命的合言葉を、その旗に書き込まなければならない。

・(労働組合を)賃金制度の究極的廃絶のための梃子として用いないならば、それは全面的に失敗する。

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・われわれは労働日の法的限界として、八時間労働を提案する。

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●解説 森田成也

・『賃労働と資本』を、『資本論』に向けた長い道のりの出発点に位置付けるのは、正当なのである。

・『賃労働と資本』(1849年)『賃金・価格・利潤』(1865年)は、歴史の最初期と成熟期とにそれぞれ属している。

・マルクスは、基本的に労働者の賃金を、労働者の生存費、繁殖費、技能習得費の3つで規定。

・『賃労働と資本』は未完の作品。

・生活保護受給者が増えていることを、個人の自己責任にし。
・文明の真っただ中で「野蛮」が出現している。

○まさに、そうだよな~。恥ずかしいこと。

・マルクスの理論的苦闘は、まさにこの三大ドグマ(古典派のドグマ、リカードのドグマ、スミスのドグマ)を次第に理論的に克服する過程でもあったのである。

・マルクスは、資本主義に代わる社会像として「自由で平等な生産者たちの連合体(アソシエーション)」を提唱。

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『DVD マルクス・エンゲルス』ラウル・ペック(監督)(2016)

●ラウル・ペック監督インタビュー

・本作は、若者のために制作したもの。
・観客に議論する自信を与えられた。

・動乱の年は、思想が進化する年。

・トランプの発言は、まったく意味をなしていない。そんな言葉に芸術家としてどう返答するべきかと考えたとき、この映画を通して、現代の若い世代に、思想の構築について伝えたかった。

●解説 岩佐茂

・プルードンが、所有一般とブルジョワ的所有を区別してないことに切り込んでいる。

・市民社会は経済社会でもあるので、経済という「基礎」に基づいて宗教の問題を考える必要があることを、エンゲルスがマルクスに指摘。
・マルクスは、エンゲルスの「国民経済学批判大綱」を読んで、経済学の勉強を始めた。

・マルクスは、資本主義のもとではその労働が「疎外された労働」になっていると論じた。

・マルクスが継承したのは、リカードの労働価値論である。

・マルクスの演説の主題は3つ
 1)労働(力)も商品である
 2)すべては変化するという弁証法の視点と、奴隷制、封建制、資本制と歴史が変化してきたという唯物史観
 3)プルードン批判 必要なのは現状を変革すること 階級闘争の必要性

・後日「賃労働と資本」として刊行。

・エンゲルス「共産主義を啓蒙しつつ、同時に商売をするなんて無理」
・マルクス「人間的な社会を求める我々の唯物論とブルジョア的物質主義との違いを主張していくべき」

・マルクスは「利益とは搾取のことだ」と語っている。

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○よし!これから『資本論』第一部を読んで行こう!

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参考:

投稿者:関根雅泰

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