【木曜日24-41】マルクス・エンゲルス本(3)資本論 第1巻

木曜日

【木曜日24-41】マルクス・エンゲルス本(3)資本論 第1巻

○いよいよ「資本論」に挑戦!(3冊)

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カール・マルクス著 岡崎次郎訳(1972)

『資本論(1)』

●序文

・この著作は、1859年「経済学批判」の続きとなるもの。

・「汝の道をゆけ、そして人にはその言うにまかせよ!」

・学問には、平坦な大道はありません。

・マルクスは、1883年3月14日に死んだ。

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第一部 資本の生産過程

第1篇 商品と貨幣

 第1章 商品

・価値の大きさは、労働の量によって計られる。

・ダイヤモンドの発見には、多くの労働時間が費やされる。したがって、ダイヤモンドはわずかな量で多くの労働を表す。

・商品体は、二つの要素の結合物、自然素材と労働との結合物である。

・商品は、使用価値または使用対象であると共に「価値」なのである。

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 第2章 交換過程

・商品は、自分で市場に行くことはできないし、自分で自分達を交換し合うこともできない。

・どの商品所持者も、自分の欲望を満足させる使用価値をもつ別の商品とひきかえにでなければ、自分の商品を手放そうとしない。

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 第3章 貨幣または商品流通

・劇場の切符などは貨幣でない

・商品は実在的には使用価値である。
・金材料は実在的には交換価値である。

・商品流通の媒介者として、貨幣は流通手段という機能をもつことになる。

・金属を貨幣にするものは、金属にしるされた公の権威である。

・貨幣恐慌が起きるのは、ただ、諸支払の連鎖と諸支払の決済の人工的な組織とが、十分に発達している場合だけのことである。
・いまや世界史上には、ただ貨幣だけが商品だ!という声が響き渡る。
○リーマンショックの時とか、まさにこんな感じだったんだろうな。

・ヨーロッパによって強制された外国貿易が、日本で現物地代から、貨幣地代への転化を伴うならば、日本の模範的な農業もそれでおしまいである。

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第2篇 貨幣の資本への転化

 第4章 貨幣の資本への転化

・商品流通は、資本の出発点である。

・剰余価値 Surplus value
・自分を価値増殖する。この運動こそが、この価値を資本に転化させるのである。

・貨幣所持者は、資本家になる。

・価値は、過程を進みつつある価値、過程を進みつつある貨幣になるのであり、そしてこのようなものとして、資本になるのである。

・流通の中で自分を維持し自分を何倍にもし、大きくなって流通から帰ってくる。
・Money which begets money
・G-W-G’は、資本の一般的な定式なのである。

・平等のあるところに、利得はない。

・流通のなかでは生産者と消費者とは、ただ売り手と買い手として相対するだけである。

・資本主義時代を特徴づけるものは、労働力が労働者自身にとって彼のもっている商品という形態をとっており、したがって彼の労働が賃労働という形態をとっているということである。

・労働力の所有者は、今日の労働を終わったならば、明日も力や健康の同じ条件のもとで同じ過程を繰り返すことができなければならない。

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第3篇 絶対的剰余価値の生産

 第5章 労働過程と価値増殖過程

・なにが作られるかではなく、どのようにして、どんな労働手段で作られるかが、色々な経済的時代を区別するのである。

・Stock(木の幹)が資本と同義なのか、これもたぶん、最初の棒(Stock:手の届かない果実を落とすためにつかむ最初の棒)から説明できるだろう。

・労働者は資本家の監督のもとに労働し、彼の労働はこの資本家に属している。
・生産物は資本家の所有物であって、直接生産者である労働者のものではない。

・地獄への道は、色々な良い意図で舗装されている

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 第6章 不変資本と可変資本

・人間は、だれでも毎日24時間ずつ死んでゆく。

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 第7章 剰余価値率

・1863年にシーニアによって発見された「最後の1時間」の警報

・生産物のうち剰余価値を表している部分を、我々は剰余生産物(Surplus produce, produit net)と呼ぶ。

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●注解

・支配階級にとって好ましくない著者

・マルクスは、1859年に出版された「経済学批判」の内容を、「資本論」第1巻のはじめに要約しておくことが必要だと考えた。

・マルクスの死後「資本論」の2つの続巻は、エンゲルスによって印刷のための原稿が準備され、刊行された。

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『資本論(2)』

第8章 労働日

・労働日は、不変量ではなく、可変量である。

・労働日は、ある限界を越えては延長されない。
 肉体的限界、精神的な限界。

・資本家は、1日のあいだ、自分のために労働者を働かせる権利を得たのである。

・労働者の食事時間や休息時間を、資本が「少しずつ盗むこと」を、工場監督官たちは「数分間のこそどろ・もぎとり」「食事時間のかじり取り」と呼んでいる。

・陶工は、すべて前の世代よりあとの世代のほうが短小で虚弱である。

・宗教的信念に対する違背などということはすべて日曜労働に関するものである。

・12時間を越える労働日の延長は、労働者の家庭的および私的生活の横領的侵害である。

・生産手段が休んでいる間は、それは無駄な資本前貸しを表している。

・巨人会社にとっては児童や少年の夜間労働の禁止は「不可能ごとである。それは会社の工場を休止させるのと同じだろう」

・資本は、労働力の寿命を問題にしない。

・「われ亡きあとに洪水はきたれ!」これがすべての資本家、すべての資本家国の標語なのである。

・プロテスタントは、伝統的な休日をほとんど全て仕事日にしたことによっても、すでに資本の発生史の上で、一つの重要な役割を演じている。

・受救貧民のための「恐怖の家」が、マニュファクチュア労働者自身のための巨大な「救貧院」としてそびえたった。それは工場と呼ばれた。

・10時間法と称するものは、ただのごまかし。
・労働力の平等な搾取こそは、資本の第一の人権なのである。

・「織物の繊細さのためには、指の柔らかさが必要であり、この柔らかさはただ早くから工場に入ることによって確保できるものである」

・「資本主義的奴隷制度から解放するために必要な現下最大の急務は、アメリカ連邦のすべての州で、標準労働日を8時間とする法律の制定である。」

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 第9章 剰余価値率と剰余価値量

・資本家は、自分の資本を2つの部分に分ける。
 1)生産手段に投ずる 2)労働力に転換する

・単なる量的な変化が、ある点で質的な相違に一変するという法則の正しいことが証明されるのである。

・生産手段が、労働者を使うのである。

・毎日一定量の他人の無償労働を飲み込むという生産手段の資本属性。

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第4篇

 第10章 相対的剰余価値の概念

・産業が改良されるとすれば、ある商品が以前より少ない労働者によって、または、以前より短い時間で仕上げられるような新たな方法が発見されたということに他ならない。

・労働日の延長によって生産される剰余価値=絶対的剰余価値
 必要労働時間の短縮とそれに対応する労働日の両成分の大きさの割合の変化とから生ずる剰余価値=相対的剰余価値

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 第11章 協業

・資本主義的生産が、実際にはじめて始まるのは、同じ個別資本がかなり多数の労働者を同時に働かせるようになり、したがって、その労働過程が規模を拡張して量的にかなり大きい規模で生産物を供給するようになった時の事である。

・かなり多数の労働者が、同じ時に、同じ空間で、同じ種類の商品の生産のために、同じ資本家の指揮のもとで働くということは、歴史的にも概念的にも、資本主義的生産の出発点をなしている。

・多くの人々が計画的にいっしょに協力して労働するという労働の形態を、協業という。

・一方では、協業は、労働の空間範囲を拡張することを許す。
 他方では、協業は、生産規模に比べての生産領域の空間的縮小を可能にする。

・まず第一に資本主義的生産過程の推進的な動機であり規定的な目的であるのは、資本のできるだけ大きな自己増殖、すなわちできるだけ大きい剰余価値生産、したがって、資本家による労働力のできるだけ大きな搾取である。

・協業はつねに資本主義的生産様式の基本形態なのである。

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 第12章 分業とマニュファクチュア

・分業にもとづく協業は、マニュファクチュアにおいて、その古典的な姿を身につける。

・細部労働者とその道具とは、マニュファクチュアの単純な諸要素をなすものである。

・A.スミスは、分業に力点を置いた。

●参考:

『新しい働き方の経済学 アダム・スミス「国富論」を読み直す』 井上義郎(2017)

・分業の基礎は、都市と農村との分離である。

・一人の同職組合親方が使用してもよい職人の数を極度に制限することによって、親方が資本家になることを計画的に阻止していた。

・「労働の小分けは、人民の暗殺である」

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 第13章 機械と大工業

・機械は、剰余価値を生産するための手段なのである。

・機械=もの言わぬ作業者

・機械が、筋力をなくてもよいものにする限りでは、機械は、筋力のない労働者、または身体の発達は未熟だが、手足の柔軟性が比較的大きい労働者(婦人、児童)を充用する為の手段になる。

・機械は、搾取度をも拡張する。

・家庭労働の支出の減少には、貨幣支出の増加が対応するのである。

・阿片剤を飲まされた乳児。

・教育は有害なものである。それは(労働者)をあまりにも独立させてしまうからである。

・リレー制度:人員が短時間ごとに絶えず交替する

・機械を中断なしに動かしておく。

・より生産的でより大規模な機械が、より少数の資本家の手に集中された。

・ほとんど全ての人々が、工場労働者の奴隷状態を嘆いている。

・資本投下の増大の必要によって、小親方の没落と、資本の蓄積とを促進する。

・資本主義的生産は、ただ同時にいっさいの富の源泉を、土地をも労働者をも破壊することによってのみ、社会的生産過程の技術と結合とを発展させるのである。

○この章での子供や婦人たちへの工場の扱いは酷いな。読むのがきつかった。

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『資本論(3)』

第5篇

 第14章 絶対的および相対的剰余価値

・労働者が生産をするのは、自分のためではなく、資本のためである。

・アメリカの未開のインディアンのあいだでは、ほとんど全てのものが労働者のものである。

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 第15章 労働力の価格と剰余価値との量的変動

・労働力の価値と剰余価値とは互いに反対の方向に変動する。

・労働の生産力が増進すればするほど労働日は短縮することができるし、また労働日が短縮されればされるほど、労働の強度は増大することができる。

・社会的労働日のうちの物質的生産に必要な部分はますます短くなり、したがって、個人の自由な精神的、社会的活動のために獲得された時間部分はますます大きくなる。

○この辺りが「暇と退屈の倫理学」につながってくるのかも。

●参考:『暇と退屈の倫理学』國分功一朗(2015)

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 第16章 剰余価値率を表す種々の定式

・資本は、A.スミスが言うような労働にたいする指揮権であるだけではないのである。それは本質的には不払い労働に対する指揮権である。

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第6篇 労賃

 第17章 労働力の価値または価格の労賃への転化

・ある商品の価値とは何か?その商品の生産に支出された社会的労働の対象的形態である。
・商品の価値の大きさを計るのは、その商品に含まれている労働の大きさである。

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 第18章 時間賃金

・ある産業部門での労働日が長ければ長いほど、労賃は低い。

・労働者の不払い労働(The unpaid labour)は、競争戦をやりぬくための手段になっている。

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 第19章 出来高賃金

・出来高賃金は、ただ時間賃金の一つの変形でしかないのである。

・出来高賃金は、資本主義的生産様式に最もふさわしい労賃形態。

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 第20章 労賃の国民的相違

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第7篇 資本の蓄積過程

 第21章 単純再生産

・社会は、消費をやめることができないように、生産をやめることもできない。

・労働者の行う消費には、2つの種類がある:
 1)生産的消費 2)個人的消費

・賃金労働者は、見えない糸によって、その所有者につながれている。

○会社勤めしてると、この感覚はあるよな~。独立して、この糸は切れた。

・機械の2つの種類:
 1)生命のない機械 2)生きている機械(人間機械)

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 第22章 剰余価値の資本への転化

・剰余価値の資本としての充用、または、剰余価値の資本への再転化は、資本の蓄積と呼ばれる。

・守銭奴の高利貸しにまさる人類の大敵はない。

・蓄積のための蓄積、生産のための生産。

・「労働者を勤勉にしておくためには」労働者をできるだけ最低賃金に抑えつけておくことが必要だと考えるのである。

・「富者の貯蓄は、貧者の犠牲によって行われる」

・労働者の搾取を強めることによって、資本家は損害を埋め合わせようとするのである。

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 第23章 資本主義的蓄積の一般的法則

・資本の増大が、労働者階級の運命に及ぼす影響。

・資本の構成 1)価値構成 2)技術的構成

・資本の蓄積は、プロレタリアートの増殖なのである。
・「労働者が多ければ多いほど、それだけ富者も多くなる。貧者の労働は、富者の宝庫である」

・働くものを勤勉にすることのできる唯一のものは、適度な労賃である。
・奴隷が認められていない自由な国では、最も確実な富は、勤勉な貧民が多いことだということになる。

○今の日本で言うと、勤勉な非正規社員が、これに当てはまってしまうのかも。

・貧民とは、すなわち賃金労働者。

・「安楽で自由な従属状態」(a state of easy and liberal dependence)

○考えなくて良いサラリーマンは、まさにこの状態になっちゃうんだろうな~。

・たいていの人口論者は、プロテスタントの牧師である。

・蓄積の大きさは独立変数であり、賃金の大きさは従属変数であって、その逆ではない。

・賃金の上昇を引き起こすものは、ただ蓄積の持続的な増大であり、その増大の速度である。

・競争戦は、商品を安くすることによって戦われる。
・より大きい資本は、より小さい資本を打ち倒す。

・より高級な労働力を駆逐することによって、より多くのより低級な労働力を流動させるのである。

・もう一つの矛盾は、分業によって一定の事業部門につながれているために失業しているものが大勢いるというちょうどその時に、人手の不足が訴えられるということである。

○これは、今もそうだよな~。

・労働者を不具にして、部分人間となし。

・民衆の貧困や堕落を伴ったこの資本主義文明が、野蛮にまさる長所とは何なのか?
 安全!ということだけである。

・「貧国とは、人民が安楽に暮らしている国であり、富国とは、人民が概して貧しい国である。」

・監獄での常食は、普通の農村労働者の常食よりも、ずっと良い。

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 第24章 いわゆる本源的蓄積

・一方の人々は、富を蓄積し、あとのほうの人々は、結局自分自身の皮のほかには何も売れるものを持っていない。

・大衆の貧窮と、わずかばかりの人々の富とが始まった。
・ずっと前から労働しなくなっているのに、その富は引き続き増大してゆく。

・軍隊の主力が歩兵にある。
・優秀な歩兵を作るためには、奴隷のように育ったり、貧しく育ったのではなく、自由に、ある程度まで裕福に育った人々が必要である。

・「共同地囲い込み法案 bills for inclosures of commons」は、人民収奪の法令である。

・囲い込みが、大借地農場の独占を増進。
・自分の土地から投げ出された。

・他人のための労働によって、生計の資を得なければならないような、そして、自分に必要なすべてのものを、市場に求めざるをえないような人々に変えられてしまう。

○こうなっちゃってるよな~。

・住民を根絶やしにして、彼らの土地を牧場にすることが提案された。

・資本主義的農業のための領域を占領し、土地を資本に合体させ、都市工業のために、それが必要とする無保護なプロレタリアートの供給を作り出した。

・労賃の最高限は、国家によって規定されるが、最低限はけっして規定されない。

・フランスでは、中世の初期に封建領主への貢租の管理人であり徴収人である采配 regisseur が、やがて事業家 homme d’affaires となり、これが強請や詐欺などによって、資本家に成り上がる。

・分散工場 fabrique separee では、誰も金持ちにはならないが、多くの労働者が幸福に暮らすのである。
・勤勉で倹約な労働者は増加するであろう。

・現在では社会のすべての富は、まず第一に資本家の手に入る。
・資本の利子を取ることによって引き起こされた。

・騒乱と闘争とが利潤をもたらすならば、資本はその両方を激励するであろう。その証拠は、密貿易と奴隷貿易である。

・労働者が、自分の生産手段を私有しているということは、小経営の基礎であり、小経営は、社会的生産と労働者自身の自由な個性との発展のために必要な一つの条件である。

○ミニ起業家が「商品づくり」のための手段(例:R&D機能)を持つことが重要。そうでないと、他社が作った商品を売ることになり、粗利が低くなる。

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 第25章 近代植民理論

・ウェークフィールドの植民理論は、植民地での賃金労働者の製造に努めるのである。

・労働者無しでは、資本は破滅する。

・民衆からの土地の収奪は、資本主義的生産様式の基礎をなしている。

・資本のためにではなく、自分自身のために労働して、資本家さまではなく、自分自身を富ませる独立生産者へ転化。

○これこそ、地域のミニ起業家だよな~。まずは、分度(自分自身に必要な生活費)を稼ぐこと。その後、余剰を推譲できるようなミニ起業家を増やしていきたい。

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○やっぱり、1回読んだだけでは、きちんと理解できてない。読む時期と、その時に持ってる問題意識によって、引っかかってくる部分が変わってくるんだろうな~。次は、第2巻に挑戦!

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●参考:

投稿者:関根雅泰

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