○イブキ@糸魚川に会いに行ったことがきっかけで読んだ本(6冊)
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『限界集落の経営学』斉藤俊幸(2024)
○確か、日経の書評に載ってたので、購入
・地域ビジネスとは、イノベーションを生むことができる土地からの産物を活かした中量生産のビジネス。
・営業車によって、商品を供給するのが、中量生産。
・粗放化によって、農地を維持できる地域ビジネス。
・限界集落は大丈夫です。農地は機能します。チャンスです。
・非競争という生き方の是認と、適切な報酬。
・むらつなぎのチャンス
・一つの会社で働くような専業は、都会的発想である。地方の山間部で生きていくためには、いくつかの副業が必要。
・「生活のための適正規模は、120%フル稼働ではなく、土、草、牛、機械、施設、農民が、80%操業が適正規模である。暮らし第一、生産第二の時代が来ている」
・まず、移住者は、長老組織の存在承認を得ることから始めることがポイントだと、国は責任をもって言うべきである。
・地域ビジネスの萌芽とも言える「草刈り」
・少人数でも、集落は維持できる。
・経営学者の藤本隆宏は、創発とは「瓢箪から駒」「怪我の功名」「思惑倒れ」であると定義。
・予定外の事態は、時として、われわれを新領域に連れていく。
・地域ビジネスは、集落を支えてきた生業の延長線上にあるもの。
・歩き遍路は、知の探究
・7人の経営者が、月1回四国のお遍路周りを、1泊2日で歩くことを、20年続けてきた。
○これ面白いな~。 弱いつながりの組織の一例。
・地域ビジネスでは、大きな初期投資でのスタートが重要。
・地域支援型農業 CSA Community Supporting Agriculture
・大企業が持っているポテンシャルは、地域で活かされるべき。
・手作りの六次産業化で、地域の産業として確立できたのは数少ない。
・国はこういう制度(地方創生交付金)であれば、地域の経済浮揚ができるという経験をしたわけで、これを適正規模農家の育成や半官半Xの起業にも使えば、成功するとの確証となっている。
・適性規模化を志向する若い新規就農者。
・非競争性を特徴とした若者が育っている。
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『農山村は消滅しない』小田切徳美(2014)
・集落機能脆弱化のプロセス
・日本の農山村集落の強靭性という最も基本的な特質を見逃している。集落は「どっこい生きている」のである。
・各地方でしかできないことを残していくことが、結果的に町や国のためになるのではないか。
・地域づくりのフレームワーク
・カリスマ型リーダーモデルから、多くの人が担える「リーダー群モデル」への転換。
・都市住民が「鏡」となり、農山村の「宝」を映し出す。
・取り組みの単位は、旧小学校区であり、明治期の村である。
・集落は「守り」広域コミュニティは「攻め」の機能を果たす。
○「地域の誇り」教育は、「子供←大人」ではなく、「子供 → 大人」だと思う。
勝手に進んでいく大人を後方から見る。見るきっかけは、外部(例:都会、海外)からの刺激。
・行政が指導して、内発力を伸ばすという発想には、自己矛盾がある。
・「なりわい」(小さな経済)が、実は地域を元気にする起爆剤になる。
・地域の現場には、色々とビジネスの素材がある。
・東京にいた時は「与える喜び」のようなものがあまり無かった。
・移住の長期化実現に向けて「小さな起業」への支援が特に重要となる。
・「山村とは、非常に少ない数の人間が、広大な空間を面倒みている地域社会である」
●参考:『地方消滅』増田寛也(2014)
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『地獄の田舎暮らし』柴田剛(2021)
・移住すれども定住せず。
・住みやすくないから定住しない。
・地元にとっては、遊休地が太陽光パネルでよみがえる、まさに打ち出の小槌となっている。
・年金の人間が来たって、税収が増えない。
・移住者は、総じて「低所得で、高コスト状態」を前提に、移住生活を想定しなければならない。
・若い時にこそ、田舎暮らしをして、介護が必要になったら、都会に戻る。これが理想では。
・都会人は、結局最後は田舎では死ねない。
・田舎ぐらしでもっとも移住者とのコミュニケーション能力が高い者は、謙虚に対話し、聞き届ける姿勢と作法を身に着けている保育園と幼稚園の保育士、先生であると、ここでは断言しておこう。
○これは、確かにそうだったな~。
・車が運転できないことは、死を意味する。
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『まちづくり幻想』木下斉(2021)
・賛同された善意の事業ほど失敗する
・周りからあれこれと批判されつつも、仲間たちと常に自らを問い直しながら、取り組んだ結果として、他の地域では起きないような変化を生み出している。
・「地方消滅」というタイトルにした提言主である日本創生会議は、今や活動休止のまま放置されている。
・人口さえ増えればすべてが解決するという幻想を捨て、先をみた思考が必要。
・日本においては「一つの事業に集中するのが良いこと」という考え方があったが、これもまた「幻想」だと思う。
・転換期のタイミングにおいては、適切な多角化をしていた企業が、経営基盤を維持している。
○これは、両利きの経営の話だよな。右手で集中して深化、左手でサーチする探索。探索が無い状態での、事業集中は危険。
・優秀な意思決定年代の人たちは、膨大な本を読んでいる。
・本は最もコスパよく学べる非常に有用な媒体。
・事業は逆算、先回り営業が基本。
・未来に絶望するネクラな意思決定層は、早くネアカな若者に席を譲ろう
・補助金事業に手を出してはいけない。足を洗うのに時間がかかる。
・地域事業の要は、安易に思考を放棄せずに、自分達でリスクをとって実践するチーム(3~5人)
・ネアカな地域に、人は集まる。
・地域経済循環のイメージ
・地方に必要なのは、新たな付加価値を生み出し、安い商品を高く売る為の営業企画を組み立て実行できる人材。
・魅力的なまちは、地元の人たちが自然体でプライドを持っている。
・地域おこし協力隊に、その地域で成果を挙げる民間事業者をメンターとして紹介してあげる。
・初めての事業 4つの原則
1)負債を伴う設備投資がないこと アクティビティー中心に
2)在庫がないこと
3)粗利率が高いこと(8割程度)
4)営業ルートが明確なこと
・まず営業し、顧客が見えている状態で事業を始める。
・先を行く地域の人は圧倒的に「未来の話」をする。
・未来の夢を語るのは、普段からそういう話をしている人でないと難しい。
・まちを変えるのは常に「100人の合意より、一人の覚悟」
・大事なことは、だいたい面倒くさい。
・「あー、面倒だな」と思うことがあれば、それは「大切なこと」
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『自分の地域をつくる ワーク・ライフ・プレイミックス』菅原和利(2021)
○菅原さんには、東大時代のゼミ仲間、みっちゃんのご紹介で、林さんと一緒にお会いしたことがあります。素敵な若者でした。
https://x.com/masahiro_sekine/status/819291979066413058
・町を覆っている空気を根本から変えてやりたい。地域を明るくする。
・観光地ではなく、関係地になる事業やサービスを考えていく。
・地域に入っていきやすい仕組みを、ビジネスで作っていく。
・木は年を経ることでよくなっていく
・やりたいことを形にしていくための最速の手段はビジネス。
・ある程度の地域を残していかないと、日本人としての民族性そのものがなくなってしまうのでは。
・人を育てられるか、人を育てる意思があるか。
・自分たちの地域だったら、こういう成長ができる、こういう学びがあるということを、きちんと打ち出していく
・学びながら活躍できるというような場所が、いい地域。
・地域は、まるごと大学みたいなもので、大学のキャンパスのようになっていくことが、これからの地域の一つの方向性なのでは。
○比企ら辺まるごとキャンパス化計画は、この一つの方向性かも。
https://tokigawa-company.com/project/incubation/hikirahen-marugoto-campus-plan/
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『成功する農業』岩佐大輝(2018)
・いかにして続けていくか、農業の面白さや難しさは、この1点に集約されている。
・ちゃんと使われている良い土地は、取り合い。
・名人は良い育て方を既に知っている。
・グループで学習することで、時間を大幅に買うことができる。
・集団で高速学習するしくみをつくるか、既にしくみがあるところに入る。
○比企起業大学も、そういうしくみであれたらいいな~。
・労働集約型(変動費型)の作物は、小さい農家でも大手と戦いやすい。
・規模の経済が効くものは、大企業が参入している、参入してくる。
・労働集約型の作物の場合、観光農園をやる経済的なメリットがある。
・いちばんコストがかかる「摘み取る」という作業を、お客様がお金を払ってやってくれる。
・大手が入ってこられない、自分達の場所で販売すればいい。地域密着性。
・地域色(地域限定感)×その場でしか買えない
○この本、面白い!
・1000万円を10年で割る。1年あたり100万円を毎年費用として計上する。これが減価償却の基本的な考え方。
・作物が天候や景気が良い時に売れるのか、悪い時に売れるのか。
・借金ができるということは、対外的な信用があるということ。借り入れにより、時間を効率的に買うことができる。
・固定費を投じないと、抜本的に経営効率を上げることはできない。
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