【木曜日24-44】神話本(2)

木曜日

【木曜日24-44】神話本(2)

平藤先生の「神話学」を学び始めたのがきっかけで読んだ、積読本(3冊)

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『千の顔をもつ英雄(上下)新訳版』 ジョーゼフ・キャンベル(2015)

(上巻)

・英雄とは、自らの力によって服従を達成する人である。

・英雄の神話的冒険がたどる標準的な道は、通過儀礼が示す定型-分離、イニシエーション、帰還-を拡大したものであり、モノミス(神話の原型 Monomyth)の核を成す単位と言ってもいいだろう。

・自然を超越した力で助けてくれる人は、男の姿をしていることが多い。
・民話では、森に住む小さい人々や魔法使い、世捨て人、羊飼い、鍛冶屋などがいて、姿を現しては、英雄が必要とする魔除けや助言を授ける。

・神秘の境界を越えることは、再生の領域に入ることであるという概念は、「クジラの腹の中」という世界中で知られる子宮のイメージで表される。

○子供のころ、ピノキオがクジラの中に入る話が、何故か怖かったな~。

・父親は、若い者たちが、より大きな世界に入っていくときにイニシエーションを授ける指導者なのである。

(下巻)

・魔法の逃走でおなじみのバリエーションに、必死に逃げる英雄が、追っ手を妨害して時間を稼ぐために、様々な障害物を後ろに投げる話がある。

○イザナキの黄泉からの逃走にもあるよな~。

・古代の雄大な神話が、今なお社会に息づいているのは、日本だけである。

・二つの世界(天界と人間界)は、実は一つなのである。

・楽園での1年が、地上での100年にあたるというのは、神話では良く知られたモチーフだ。

・英雄の旅

・おとぎ話や神話が、夢と符合していることが、解き明かされたお陰で、長らく疑問視されていた古代人の荒唐無稽な幻想が、現代人の意識の前面に一躍、舞い戻ってきた。

・宇宙創成の円環

・「父を訪ねて旅する」神話は、文字通り、人間の究極の目標として描かれる。

・幼児の追放と帰還は、すべての伝説、民間伝承、神話を特徴づける共通のテーマなのである。

・神話の英雄は、これから生まれるもののために戦う戦士である。
・英雄に殺される龍は、まさに現状を守る怪物であり、過去の守護者に他ならない。

・人食い鬼たる専制君主は、既成事実の擁護者であり、英雄は、創造的生活の擁護者なのである。

・権力亡者から解き放たれたエネルギーは、象徴的に一人の女性として表される。
・その女性は、英雄の「分身」でもある。

・「私は父とは一体」だと認識して帰還する。この英雄こそ、真の意味でのいわゆる神の化身である。

・ダンテの『神曲』は、魂が経験する段階が詳しく描かれている。

○読んでみよう。

・神話を解釈するにあたって、決定的な体系は存在しない。

・動物たちと荒野を共有する行為を、心理的に受け入れることが、太古の狩猟民にとっての大きな課題だった。
・こうして無意識の同一化が起こり、半人半獣という神話的なトーテム祖先が、人びとの意識に現れた。

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●解説

・本書は、1949年に初版が刊行された比較神話学の古典である。
・繰り返し現れる共通の構造「行きて帰りし物語」

・人類が普遍的にもつ無意識の欲求や恐れなどが、象徴的に表現されているのが神話である。

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『神話の力』ジョーゼフ・キャンベル&ビル・モイヤーズ(2010)

●まえがき

・キャンベルは、世界に深く入るための一つの確実な道は、印刷されたページの上にあると説き続けた。

・「真実はひとつである。賢者はこれを多くの名前で呼ぶ」

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●対談

・偉大な小説は、すばらしい教育的な意味を持つことがある

・神話を読むことで、自己の内面に向かうことができるのだと教えてくれる。

・ジャーナリストやジェネラリストは、一般大衆の目の前で自己教育をする義務がある。

・神話学は、文学や芸術の背後にあるものを教えてくれる。

・神話は世界の夢。元型的な夢で、人間の大きな諸問題を扱っている。

・日本人がそれ(大量の機械的物質)に埋没することなく、しっかり頭をもたげて、この機械世界を同化していったという事実。

・人間ならばだれでも理性をもてるはずだ。この考えが、民主主義の原理だ。

・神話は公衆の夢であり、夢は個人的な神話。

・民話の標準的なモチーフに「禁じられた一つのもの」というのがある。

○「見るなの禁」「驚くなの禁」とか。

・ユングが元型(アーキタイプ)と呼んでいるもの。
・フロイトの無意識は、個人的な無意識であり、自伝的な性格を持っている。
 ユングの無意識の元型は、生物学的であり、自伝的な要素は二の次である。

・民話は娯楽を目的としたもの。神話は精神的な教化を目的としたもの。

・神話は2つの目的に仕えなければならない。一つは、若者を自己の世界での生活に導きいれること。いまひとつは、その世界から離脱させること。

・少女は、初潮の経験を通じて、女になる。
・男の子は、だれかによっておとなにされ、自分よりも大きな何かのために進んで仕える必要がある。

・神話には、環境がとても大きな影響を及ぼす。

・432,000は、多くの社会で共通に使われている重要な神話的数字。

・地理的なものが、そこに住む人々の神性のイメージを形作り、それを客体化して神と呼ぶ。
・神の観念は、必ず文化的に条件づけられている。

・子供が生まれたら、そのときから、あなたは死者。
・子供を、注意深く見守る。

・座業が主だという私たちの生活の特徴の一つは、知的な喜びがある、あり得るだろうけれども、体はたいしてそれに関係がないということ。

・社会には英雄が必要。
・分離分散の傾向に歯止めをかけて、皆をひとつにまとめ、全体の意志が生まれるようにするためには、社会は凝縮したイメージを持たなければならない。

・人が根本的な自己存在を探して内面へと向かう旅

・神話自体があたえるヒントに従う。

・自分を救う旅に出かける。
・そうすることで、あなたは世界を救うことになる。いきいきとした人間が、世界に生気をあたえる、これには疑う余地がない。

・偶然を受け入れることができるか。
・すべてをあたかも、自分の意志であるかのように思うこと。

・神話は詩、隠喩。
・神話は究極の心理の一歩手前の心理。
・究極のものは、言葉にはできない。だから一歩手前。

・母親は、子供の本性(Nature)を産む。父親はいわば子供の社会性を、社会的な役割を産むといえるだろう。

・個人対個人のアモールという吟遊詩人たちの思想は、危険千万なものだった。

・結婚は、生活に責任をもって関わること。
・試練 Ordeal 

・自然の世界で生きている人は、毎日そういう瞬間を経験する。
・人間の次元よりも、はるかに偉大なものがあることを認識している。

・詩は通り抜けられる言語
・詩は、言葉を使って、言葉を超えたものを伝える。

・すべての言葉を超越することが絶頂体験。

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●訳者あとがき

・悪の根源は、貪欲にあると同時に、無知にもある。

・意味のある生活を送ろうとすれば、どうしても神話が必要ではないか。

●解説

・人類に共通する「生きているという経験を求めること」を幾多の物語に見出す。

・何が語られたかは、どこで語られたかということと、密接な文脈をなす。

・正しい教えを欲するには、正しく問わなければならない。

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投稿者:関根雅泰

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