○慶應MCCの「神話学」がきっかけで読んだ本。手ごわかったけど、面白かった。(1冊)
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『神はなぜいるのか?』 P.ボイヤー(2008)
・多様な宗教という現象は、どこでも同じもの(脳)の点から、どのように説明できるのだろうか?
・人類学者は、文化の差異を研究するのが仕事。
・文化とは、ある類似性のこと。
・心は、たくさんの専門化した説明装置(推論システム)からなる。
・人は、自分の宗教を、自分が属している社会集団の仲間から得る。
・宗教は文化的なもの。他の人々から宗教を教わる。
・幽霊や霊のような存在は、心をもっていると仮定されている。
・違反は、期待という背景があってはじめて、注意を引き付けるものになる。
・自閉症 マインド・ブラインドネス(心が読めない状態)
・祖先の環境こそが、ヒトという種が進化する上での条件であった。
・他の動物以上に、ヒトがとりわけ必要とするもの2つ:情報と協力
・宗教をもつには、人間であればだれもがもっている標準的な心の構造が必要である。(特別なものは必要ない)
・神や霊についての推論は、彼らが極めて人間らしく行動することを要求する。
・神や霊が、人間によく似たように作られていることは、宗教のなかでももっともよく知られた特徴の一つ。
・行為者を過剰に検出する。ないのにあると錯覚してしまう。
・捕食に由来
・多くの宗教において、狩猟への頻繁な言及と狩猟や捕食のメタファーが目立って多い。
・エイリアンの存在が、宗教的行為者によく似たものとして記述されることが多い。
・神話の精緻化。
・道徳性は、いわば獣性の対極。
・利他的な行動は、多くの動物種にみられる。
・不正を働いた時の「罪悪感」は負の報酬。
・感謝、プライドは、協力行動をとった時の正の報酬。
・妖術についてしゃべることは、特定のケースについて言及していることになり、そのことが一方の側につくことになる。
・邪視とは、うらやむ人々が向ける呪い。嫉妬が、邪視を引き起こす。
・妖術師は、代価を支払わずに、利益を得ようとする者。自分がとるだけで与えない者、他人の健康や幸せを盗む奴、他人のものをとって栄える輩。
・死者(遺体)には、何かをしなければならない。
・死者を弔うなんらかの儀式が極めて古くからあった。
・人類学の真価は、自明に見えるものを疑うことにある。
・腐敗する死体には避けるべき何かがある。
・死体を処理することは、私達の「人物ファイルシステム」にとっては、まだいなくなっていない人を処理することを意味する。
・宗教は、死についてのものというよりは、死体についてのものだと言える。
・儀礼そのものが、伝達される情報の量を減らすように働いている。
・正しいやり方でそれらを行わねばならない、さもないと何かひどいことが起こる。
・強迫性障害(OCD)の症状と儀礼的行為の遂行との間の類似性。
・婚姻は、公的な色彩が極めて強く、広く公表される出来事。
・性と生殖(再生産)の状況を変えるような条件を生み出す。
・配偶者の候補のプールから、2人の人間が除かれることになる。
・世界中のどこの人間も、自分の社会環境を分類している。
・社会集団を分類する方法はほぼ必ず、人間の間には自然な差異があると仮定することによっている。
・1回限りの派手な儀礼は、神々自身に行動させ、繰り返される地味な儀礼は、神々に従うように行動させる。
・あなたの宗教は何か?
○そう問われたら、自分ならどう答えるか? Shinto(神道)Buddhism(仏教)Confucianism(儒教)の影響を受けていると答える?
・「一つの宗教に属する」というのは、殆どの西洋人にはきわめて単純明快なことのように見えるが、ジャワ人の場合にはそうではない。
・読み書きの能力は、複雑な社会でなければ、発達しえなかった。
・私達は、一般に「見えざる手」による説明を好まない。実は企みの真の首謀者がいるといった「隠れた手」のシナリオを好む。
・心がどのようにはたらくか。一連の心的プロセスが、実験により発見された。
・コンセンサス効果、記憶の錯誤、情報源の取り違え、確証バイアス、認知的不協和の低減等
・科学の営みは、私達の認知的傾向からすればきわめて「不自然」である。
・人間にとって宗教が「自然」であるのに対して、科学はまったく「不自然」だ。
・これまでヒトがほかの動物種と比べようもないほど行ってきたことは、ありとあらゆる種類と質の「情報の交換」である。
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●訳者あとがき
・神や宗教を科学で扱うこと自体が、タブーでもあった。
・ボイヤーは、自身の文化人類学の知識と経験と疑問を踏まえ、認知科学や進化心理学の最近の知見をふんだんに採り入れながら、果敢に疑問(神はなぜいるのか?宗教はなぜあるのか?)に果敢に挑んだ。
・ヒューマンユニバーサルズは、ヒトが進化の過程で獲得した「心」の産物に他ならない。
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