川喜田二郎先生の本

企業内教育担当者向け

お正月三が日は、川喜田二郎先生の本にはまってました。
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(・引用 ○関根の独り言)
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『組織開発論』 1996
・本書では、下記根本問題に挑戦する
 「人はいかにして、生きがいを感じ得るか」
 「人と人の心はいかにすれば通じ合うか」
 「人の創造性はいかにすれば開発できるか」
○難しい問いだけど、この人は本の中で、確かにこれらの問いに答えている。

第I部 パーティー学
・進化とは、生命量の増大。(多様性)
・文化とは、社会における衣服のようなもの。
・自然環境-適応する生業-生業に密着した労働-切実な生活体験
 -生きる姿勢-人生観世界観の好み-特定の高等宗教の選択
・生きるとは、創造すること。
 創造とは、バラバラをくみたてること。
・創造的ということの3条件:
 1)自発的 2)モデルがない 3)お遊びでない、切実な行為
・学校教育に欠けているのは、創造的な行為
・創造的と思われる仕事をした人々は、それを境に人間形成のうえに
 飛躍がみられる。
 30歳以前の人間においては、創造的行為を通じて、人間が自分自身
 を変革する可能性を、私は大いに認める。
○これは希望がでるよね~。
・人柄をつくりあげるに、非常な関係をもっているのは、普段どういう
 労働に従事しているかである。
・アリストテレスの論理学の3方法:
 1)帰納法 インダクション
 2)演繹法 デダクション
 3)発想法 アブダクション
・「紙きれ法」
○KJ法って、紙きれ法から始まったんだ。
・人は「表現してみて、はじめてわかる」「くみたてみて、はじめてわかる」
・量よりも、質的多様性の集約化こそ、確からしさの他の源泉。
・人間は仕事をしなさすぎると不満になる動物であること。
 逆に仕事が創造的になるほど、深い満足を覚えるもの。
・「千じんの谷底に突き落とす」精鋭主義は、犠牲者が多くなりすぎる。
 
 よく用意され、落とされた人前の力量にふさわしい墜落をした場合には
 落とされた人間は、最小量の体験から最大限の実力や教訓を得る。
 ところか、多くの崖落とし教育は、たんに落とすばかりで、この点の配慮が
 かけやすい。
○まさにそう!

第II部 創造性の原点
・創造=問題解決
・問題解決を始めから終わりまえやりぬいた体験をもたないと
 欲求不満に陥る。
 首尾一貫ひとつの問題解決をすることを「達成」と呼び、そのような
 「達成体験」を累積しないと、人間らしく成長できない。
○こういう達成体験を、俺は子どもたちに与えられていないのでは・・・
・達成体験は、1人1人の人間を著しく活性化する、人間のルネサンス。
 そればかりか、同じ課題を追求した仲間の間に驚くべき連帯感を生みだす
・KJ法は、具体的な問題解決のために作られた。
 ところが課題解決などどうでもよく、やる気とチームワークを目標とするのは
 おかしい。
・創造的の3カ条は、相互に矛盾し得る。この3カ条を同時にゴクリと
 飲み下す、矛盾葛藤を解消する行為こそが、創造的行為である。
・断片的で多様なデータを、データをして語らしめる道は、KJ法で
 かなり開けつつある。

第III部 創造性と組織開発
・友人の梅棹忠夫君は、文学青年派。自分は哲学青年派。
○梅棹忠夫先生の本も面白かったな~。
 勝手にウメサオタダオ研
 https://www.learn-well.com/blog/2012/02/post_360.html
・異質のものが、どうして協力すればいいのか
・チームワークの第一歩は、人の話をよく聞くこと
・記録するなら、チョコチョコ書きの「点メモ」が良い。
 心に波風の起こったこと、記録に値することだけを記録する。
○こういう本のまとめもそうかも。
 俺の心に波風の起こった言葉だけ記録している。
・ひと仕事を上手くやるためには、2つの知識が必要:
 1)その分野だけに固有の知識、技術
 2)どんな場合でも必要な「問題解決学」
・共通の仕事の達成体験こそ、人々の心をも結び付ける最善の道。
・チームワークの3つの側面:
 人の和、人間形成、文化形成
 これら3つを連合的に育てる方法として「仕事を通じて育てろ」がある。
・チームを育てる教師は、人間ではなく、仕事。
・ひと仕事を部下にお願いするときには、何をやってもらうのかという課題は
 できるだけ明確に示す。それから何故その仕事をやってもらうのかという 
 背景についてはできるだけ親切に説明する。
・ひと仕事おわって部下が、結果を報告しに来てくれたときは、これを喜び
 一緒になって結果を味わうことが重要。
・入口と出口が大事で、その中間は「信じて任せよ」という結論になる。
・どういう手段、方法をとったらよいかは、聞かれたら答えるが、教えない。
・作業しかやってない人間は欲求不満に陥る。
 ひと仕事やってみろと言われると、自信がなく、たじろぐような人間になる。
○これはそうかもな~。
・人間が生きるということは、矛盾の克服過程。
・チームを育てるには「創造的なやり方で仕事をやる」こと。
 そのためには、仕事の難しさの程度が非常に重大。
・この仕事を相手に任せてやってもらえるかどうかについて自分は熟慮したか。
 難しさの程度の判定を誤った自分を責めたほうがよい。
・故郷とは、創造体験の累積したところ。一度しかない人生において、
 3つでも4つでも5つでも故郷を作っていくことができる。
○俺にとっては、留学したミシシッピーは、第2の故郷と言えるかも。
 これからは、今住んでいるときがわ町を、第3の故郷にしていきたい。
・作業と仕事は違う。作業は、仕事の一コマにしか過ぎない。
 仕事とは、なにかしら始めがあり終わりがあり、全体的構造を持っている。
・組織においては、個人レベル、小集団レベル、システムレベルがある。
 個人レベルは、教育の問題。小集団レベルでは、人間関係の問題。
 システムレベルの問題への改善は、合理化。
・チームで仕事をするときの3つの場面:
 1)執行 2)審議 3)意思決定 
・衆議一決と独断専行のどちらがよいかは「状況による」ものであり、
 その状況は「緩急」と「軽重」による。
・情報の共有化こそが、チームワークの基本。
・フォロワーにも、リーダーに準ずる経験を日ごろから与えるように努力するのが
 優れたリーダー。
・自分は動かずに、人を動かしてうまくやったものが、立派な装備主任。
・チームは常にゼロから育てるもの、お互いの手で育てるべきものという自覚。
・W型問題解決モデル
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・仕事の構造は「判断→決断→執行」
・「加→乗→減→除」による会議進行
○これいいなー!
 まずは、意見を沢山だしてもらう。(ポストイットも活用)
 出た意見をかけあわせて、案をくみたてていく。
 その上で、案の良し悪しを評価し、どの案でいくか賛否を問う。
・「信じて任せる」とは、
 仕事の受け手に、「ひと仕事」として始めから終りまで、まとまりのある姿で
 やってもらおうというやり方のこと。
 与えるべきは、目標ではなく「課題」。W型で言うA点で渡す。

第IV部 参画社会をもとめて
・Participationの訳としての「参加」より、自分は「参画」という言葉を使う。
 自分たちのこととしてやるのが、参画。
・参画意識を高める二大方法
 「くみたて民主主義(加乗減除による会議)」
 「信じて任せる」
・システムレベルをつくった代表者が、ペルシャ帝国。
・相談の場面では、横の体制に。執行の場面では、縦の体制に。
・現場を離れて、中央に近付くほど、ろくなことがない。
○「迷ったり、悩んだら、現場に行け」って言うもんな。
・個人レベルは、創造性教育。小集団レベルは、チームワークの文化づくり。
 システムレベルは、合理化。
・トップダウン式の「まとめ」だけが科学的だという思い込みは根深い。
 定性的データを、ボトムアップ式にまとめるなどということが、科学的に可能
 だとは信じようともしない。
・ひと仕事なるものは、入口が課題の受け渡しで、出口が報告の受理。
・KJ法で組み立てるときの原則は、集まった材料どうしが語りかけてくる訴えを
 良く聞くこと。自然な訴えのままにグループをつくってまとまっていく。
 まとめるではない。
・人生において求めるべきは、幸せよりも充実。
・どんなテーマでも、数百種類のカードにまとまる。
・息を吸い込んで、吐き出す。これがひと仕事。
・PDSは、ひと仕事ではない。執行の中の小分けにすぎない。半仕事。
・野外科学的方法こそ、判断への王道。

あとがき
・1964年の「パーティー学」、1967年の「発想法」
 1967年が「KJ法元年」となった。
 この流れの中に、日本の企業界が組織開発を必要としてきた歴史が
 刻印されている。
 この頃の高度経済成長とともに、日本国民は何らかの組織に大部分
 編入されてしまい、組織が格段に大型化されたのだ。
・組織運営の問題を招いたのは「情報の循環の破たん」
・大組織といえど、その中には生きた小集団細胞がある。
・組織の活性化、つまり組織開発の中核的問題は、いかに「参画」を促すか
・組織開発で重要な科学的方法論は、総合の方法論である。 
 リアルな生活データを適切に集め、それらをデータをして語らしめて
 ボトムアップにする。
 ところが、西欧文明は、推論を推進した書斎科学と、
 分析を推進した実験科学という2つの方法論しか発達させなかった。
 そこで私は第3の道として「野外科学」的方法を提唱したのである。
・機械モデルから、生命モデルの世界観が、組織開発には必要。
・組織開発の決め手は、問題解決力。W解決とKF法が死命を制する。
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『チームワーク 組織の中で自己を実現する』 1966
・創造的行為であるための3条件:自発的、切実である、モデルが少ない
・仮説検証型の科学的手続きにおいて、
 そもそもその仮説をどうやって思いつけばよいのか。
・チームと組織の違い:「顔と顔」の関係、全人格的接触
・3人寄れば文殊の知恵:三人が討論し、その結果、はじめは誰一人として
 持っていなかったような知恵が創りだされたという意味
・データがアイデアを誘発する
・「ほどよい当惑」こそ、アイデアの発散に適している
・発言をまとめるKJ法:
 
 話す → 紙切れに圧縮して記録 → 図解(A型)
                      → 文章化(B型)
・5回ほめて1回叱れ。
・他人の長所を買える人は、創造性が高い。 
 長所をどこへはめこめば生かせるかということを発見したことになるから。
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『KJ法 混沌をして語らしめる』 1986
・問題解決のプロセス:判断→決断→執行
 まず判り、次に肚をきめ、最後に手を下す。
・PDSは、判断のプロセスが脱落する。
・W型問題解決のプロセス
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・問題提起にあたって最も大切なことは、「私が関心をもって感じていること
 は何か」それを正直に書き出してみること。
・事実とデータは違う。
 事実 → データ
     ↑
  観察 記録
・よき判断こそ、決断のもと。
・まず方針(こちらの方角へ歩め)を固める。
 その方針に従って、目標が設定される。
・ラベルづくりの最も肝要な心がけは、各1枚のラベルが、ひとつの「志」を
 もつように書け、ということ。
・ラベル(志)たちが、なにゆえここに集まったのか、そのゆえんが感じられ、
 それがひと固まりの志をなしているか、自分の心に問う。
・志として、訴える、アピールするのが、ラベル。通常は文章になる。
・狭義のKJ法一ラウンド
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○これ分かりやすいな~。志をもったラベル達が集まり、旗をかかげる。
 まさに、データが語り始めるという感じなのかな。
・梅棹忠夫氏が、紙キレ法を、KJ法という名に変えるよう示唆。
・面接調査で「例えば、どういうことがありましたか?」と過去形で聞く。
・点メモでは、心がもえたことだけを記録する。
・KJ法は、データを収束していくためのものであり、
 探検ネットは、発散的に新しいデータを求めていくためのもの。
・発想を促す原理 1)切実感 2)集中と放念のリズム
・TQCでは、KJ法が重要な柱になりつつある。
・結果を味わうために、反省会で感想ラベルを募り、KJ法で組み立てる。
○これ、地域でのプロジェクトが終わった時点でやってみると、面白いかも。
・矛盾ある三カ条を飲み込み、実践的行為の中で解消することこそ創造的。
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・KJ法の作業では、途中でおこる小さなひらめきが大切。
・心の筋肉。3種の思考を使う。
・「こうあってほしい」「こうであらねば不自然である」などという整合性を
 要求する何らかの心の働きがある。
・KJ法は混沌から出発する。
 混沌そのものの状況から生まれた「関心」という欲求から。
・いのちが燃える創造的な営みのあった場所が故郷となる。
○川喜田先生、熱い人だったんだろうなー。
 面白そうだから、この本も読んでみよう。
 『川喜田二郎の仕事と自画像―野外科学・KJ法・移動大学 』
 Wikipedia 
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E5%96%9C%E7%94%B0%E4%BA%8C%E9%83%8E
・3つの科学的方法論
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・実験科学的方法は、仮説検証的。野外科学的方法は、仮説発想的。
・法則追求的、定量的、分析的科学観と、
 個性把握的、定性的、総合的科学観のバランス。
・6人が集まって一つのチーム。6チームで、1つのユニット。
 ユニット3つの108名が、移動大学の一般参加者数。
・チームワークのルール:審議(横)と執行(縦)を区別する
・受け手にとって難しすぎる仕事の場合、部分的仕事に分割して、
 「ひと仕事」を達成させるようにする。
・周囲の人たちが言うことを良く聴くために、KJ法を使う。
・KJ法は、複雑難解な、しかし重要な問題で、じっくり取り組むような
 問題を扱うのに適している。
○地域の問題なんか、まさにそうかも。
 ときがわ町について、KJ法で考えてみよう。
○KJ法、知ってたつもりになってた。
 単に「ポストイットで出た意見をまとめる時に、KJ法を使う」ぐらいの軽さ。
 KJ法は、奥が深い・・・。
 
 KJ法本部 川喜多研究所@京都でやっている、この研修、受けにいこう。
 http://mushin-kan.jp/contents/globalnavi1183454164734.html
○実際、受けに行ってきました。(2016年2月6日)
  https://www.learn-well.com/blog/2016/02/kj.html
 やっぱり受けてよかったです。
 本を読んだだけでは分からない、手を動かしてやってみないと
 分からないことがあると思います。
===
研修受講(2016年2月6日)前に読んだ本。
『川喜田二郎の仕事と自画像:野外科学・KJ法・移動大学』
  川喜田喜美子・高山龍三 編著 2010年
・カード法の開拓。その動機は、混沌との格闘であった。
 混沌を総合し、何か新しい秩序を創造すること。
・「まとめる」には「同質の要約」と「異質の統合」がある。
○「同質の要約」はできそうだけど「異質の統合」は難しそうだなー。
・KJ法の特色は「混沌をして語らしめる」
 必ず下から上へと次第に絞られていく。
・読書に比べ、KJ法はいっそう能動的な思索。
・KJ法作品は、ペーパーで売るのではなく、情報の利用手数料を売る。
○面白いなー。「考えてあげた分、利用料を払え」って確かにありだな。
 そして、それは他でも使えるもの。
・長所を5回認め、短所を1回認める。
・素材の身になる。素材の語る声に従い、それに協力して表現していく。
 虚心になって、素材の訴えを聞かねば、成功しない。
○「訴える素材」と「耳を傾ける」が大事。単にポストイットに
 書くだけではなく、きちんと「志」をもって訴える素材。
・部品とはめこまれた人間こそ、まともで堅気な人間だとする
 暗黙の社会観。
○マトリックスの世界・・・
・事業ちゅうものはな、やることによって金ができるのや。
○これは確かにあるかも。今、地域活動を事業化して感じていること。
 事業化する!と、決め、知恵を絞り行動すれば、協力者が得られて、
 お金はつきはじめる。
・科学の方法を仮説実験(検証)以外に認めようとしない立場からの批判
 KJ法は「統合」を求める第三世代の学問の時代を開く。
・人間の取りまとめる能力というものを非常に鍛えないと
 上手くいかない。
・集まった材料が語りかける。それに徹底的に従う。
・取材とKJ法で、一つのパッケージ。
○地域課題の解決に、KJ法を使うなら・・・
 複数メンバーで、現場に出て、話を聞き、見て、さわり、 
 戻ってきて、ポストイットに書き出す(志、訴え)
 その声をよく聞くことで、だんだんとまとまっていき、
 何をすればよいかが見えてくる、って感じかな。
○内装木質化に関する自治体(既存・新規)インタビューを通じて
 「取材&KJ法」を、やってみよう!
 http://tokigawa-company.com/?cat=13
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投稿者:関根雅泰

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